鎌倉市議会は2月定例会最終日となる3月22日、本会議を開き、2017年度一般会計当初予算案から、市観光協会への補助金約4600万円を削除した修正案を賛成多数で可決した。同協会が運営する観光案内所で「従業員の雇い止めがあったのではないか」と指摘されている問題に関連し、協会側が資料を提出しなかったことなどが理由。市は「議会と協会の調整に努め、補正予算などにより補助金の復活を目指す」とするが、今後は花火大会や薪能などのイベントに影響が出る可能性もある。
市観光協会は、運営を受託する観光案内所が昨年10月、鎌倉駅東口のみどりの窓口横に移転した際、多言語対応の強化などを目的に案内所で長年勤務してきた従業員の多くと契約を更新しなかったとされる。
市議会は、こうした行為が「雇い止め」(有期の雇用契約が長期にわたって更新されていたにもかかわらず、正当な理由がないままに雇用期間を更新せずに契約を終了させること)に当たると指摘。昨年の9月定例会で取り上げたほか、2月定例会の観光厚生常任委員会、予算等審査特別委員会でも審議された。
そのため議会は、同協会に理事会の議事録と就業規則の提出を要求。しかし協会側は、公益財団を所管する神奈川県や弁護士とも協議した上で「自由闊達な話し合いができなくなる恐れがある。提出する法的な根拠もない」として「議事録全てではなく、審議に必要な部分が提示されれば、その部分だけを提出する」と回答していた。
結局、両者の主張は平行線をたどったまま、予算等審査特別委員会では「審議ができない」として同協会への補助金約4600万円を削除した修正案を可決。22日の本会議でも賛成多数で修正案が可決された。
イベントに影響も
「鎌倉の観光のために働いてきた自負があるので、非常に驚き、混乱している」。議決を受けて22日夕方、記者会見を行った同協会の井手太一会長は困惑の表情を浮かべた。
同協会によれば、削除された補助金は全体の運営予算の約3割を占める。そのうち約8割が職員の給与や事務所の家賃、残りは鎌倉まつり、花火大会、薪能などのイベントの経費となっている。
同協会はこの日「(4月9日から16日まで行われる)鎌倉まつりは予定通り実施する」とした。しかし関係者は「もともと鎌倉まつりは約400万円の『赤字』を寄付や協賛などでまかなう予定の事業。市からの補助金として約200万円を見込んでおり、この分をどう補てんするかは決まっていない」とする。
実行委員会の事務局を務める花火大会や薪能については「これから話し合う」としており、問題が長引けばイベント開催に影響が出る可能性もある。
市は「今後も議会と協会との調整に努めて、補正などによる復活を目指す」考え。同協会は4月19日に予定されている理事会で「改めて今後の対応を協議する」としている。
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