由比ガ浜在住で、『魔女の宅急便』などで知られる作家の角野栄子さん(83)が3月26日、「児童文学のノーベル賞」といわれる国際アンデルセン賞の作家賞に選ばれた。
「児童文学への永続的な寄与」を称えることを目的に、1956年に開設された同賞。作家賞と画家賞があり、国際児童図書評議会(IBBY、本部・スイス)が隔年で授与している。
作家賞では、66年に『ムーミン』シリーズで親しまれるトーベ・ヤンソンが受賞。日本人では94年のまど・みちおさん、2014年の上橋菜穂子さんに次ぎ3人目で、授賞式は8月30日にギリシャ・アテネで開かれる。
同評議会は角野さんの数々の作品について「魅力的で思いやりと鋭気に満ち、楽しく、前向き」と評価。角野さんは「世界中の人が私の本を読んでくれて、認めてくれたのがとても嬉しい」と笑顔で喜びを語った。
東京都出身で、海外への憧れから25歳からの2年間、ブラジルに滞在。そこでの経験を元に、35歳でノンフィクション『ルイジンニョ少年、ブラジルをたずねて』を出版し、作家デビューした。
89年には宮崎駿監督により『魔女の宅急便』が映画化。2014年には春の叙勲で旭日小綬章を受章した。
「海のそばで暮らしたい」と、鎌倉に居を構えて17年。「とても雰囲気が良くて好き」と話す。
今後について「(自身の戦争体験をもとにした)『トンネルの森1945』の続編も作りたい。元気なうちは、ずっと書いていく」と熱意を示し、「物語は生きる力を与えてくれる。多くの人に、いろいろな本を読んでほしい」と語った。
文学館で特別展示
受賞を受けて、鎌倉文学館は急きょ特別展示を決定した。現在、2階常設展示室には『小さなおばけ』シリーズなど、角野さんの作品約20点が並ぶ(15日(日)まで)。
また角野さんは「子どもと直接話す機会を」と一昨年からほぼ毎月1回、同館で朗読会を開いており、3月31日には過去最多の100人を超えるファンが来場した。
この日はデンマークの童話作家・アンデルセンの生い立ちなどを紹介した後、角野さん自身が文章を書いた絵本『すずのへいたいさん』『人魚ひめ』を読み上げ、子どもだけでなく大人たちも真剣に聞き入った。
雪ノ下在住の岩崎華さん(8)は「アンデルセンにも興味が湧いた」と話した。次回の朗読会は、4月28日(土)午前11時からを予定している。
詳細は同館【電話】0467・23・3911へ。
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