インテリアの一つとして、いま密かな人気となっているという「苔」。今週末には、苔を使った作品を集めた展示会が市内で開催される。企画したのはこの春、鎌倉で専門店をオープンさせた若きクリエイター。ブームの一方で栽培法などは普及しておらず「苔についての正しい知識を多くの人に知ってもらうとともに、鎌倉から『文化』として発信していきたい」と意気込む。
「鎌倉苔展」と銘打ったこのイベントは5月12日(土)、13日(日)の2日間、苔専門店「苔むすび」(由比ガ浜2の4の22)の店内で開催される。
期間中は苔を使ったテラリウム(透明なガラス容器に植物を入れたもの)など、50点以上の作品が展示されるほか、Tシャツづくりなどのワークショップも行われる。時間は午前10時から午後5時まで。
栽培法の普及目指す
会場店舗のオーナーで、このイベントを企画したのが園田純寛さん(34)だ。
千葉県出身の園田さんは学生時代から苔の美しさに魅せられ、大学の農学部では苔と共生する微生物を研究した。
就職後も趣味で栽培と作品作りを続けていたが、フリーマーケットやネットを通じて販売したところ「想像していた以上にファンが多く、作品が次々売れた」という。
今年3月には、「一般向けに苔にまつわるものはなんでも扱う店」を目指して、「苔むすび」を由比ガ浜にオープン。鎌倉を選んだ理由について「美しい石段で知られ苔寺と呼ばれる妙法寺など、有名な場所も多い。苔の魅力を発信するには鎌倉しかないと考えていた」と振り返る。
また店をオープンさせたのは「近年のブームに対する危機感があった」と園田さん。
手軽なインテリアとして人気となり、テラリウムなどが多く販売されているが「『売りっぱなし』でアフターフォローもない店がほとんど。実は湿度や光など環境に左右されやすく、苔の栽培は決して簡単ではない。買ってもすぐに枯れたり、カビが生えてしまう人が多い」と話す。
そこで同店では、主にワークショップや苔あみの教室などを開催することで、「体系的な栽培の技術の伝達」に力を入れている。園田さんは「ゆくゆくは鎌倉を関東における苔文化発信の拠点にしていきたい」と意気込みを語る。
温暖化対策の切り札も
また今回のイベントに合わせて、店舗内に設けた「ミズゴケ湿原庭園」が披露される。
ミズゴケは高層湿原に自生する苔の仲間。植物が生育しやすい環境を作り出し、湿原の基盤植物となっているほか、地球規模で見れば総陸地面積の約30%にあたる炭素を埋蔵するなど、温暖化抑制に重要な役割を果たすと考えられている。
これまで栽培は困難だったが、近年、手法が確立され、園田さんはこれを利用して庭園を造った。園田さんは「今後はミズゴケを使った庭作りの提案などもできれば」と話している。
問い合わせは【電話】0467・38・8136へ。
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