「参道にアジサイはございません」――。極楽寺の成就院がこの案内文をホームページに掲載して約1カ月になる。
長谷寺や明月院とともに「あじさい寺」と呼ばれる同院には、262株のあじさいが並ぶ東側参道と由比ガ浜の景色を目当てに、毎年多くの観光客が訪れてきた。しかし、同院は来年迎える創建800年に向け、3年前から老朽化した参道の改修工事を開始。それに合わせ、参道脇のあじさいはすべて市内複数の寺院や団体らとともに東日本大震災の被災地・宮城県南三陸町へ寄贈した。
参道工事とボランティア有志による寄贈活動は昨年完了。「成就院のあじさいには、新田義貞の鎌倉攻めで亡くなった人の霊を弔う意味も込められていた。そのあじさいがこれからは南三陸町で被災者の霊を弔い、東北の地でご縁が広がれば」と同院の関係者は話す。
代わりにハギ
現在あじさいは約30株。それ以外の場所には宮城県の県花であるハギ(シロハギとミヤギノハギ)100株が加わった。参道を見下ろすと例年よりも早く咲き始めたあじさいの花も見えるが、海側はハギの緑色が目立つ。
同院ではホームページでの告知や問い合わせへの回答などで現状を伝えているが、それでもまだ知らずに訪れる人は多いという。取材日もカメラを片手に階段を上ってくる観光客らの姿が次々と見られた。「植えたハギが育つまでまだ時間もかかる。あじさいも減り、以前のような華やかさはなくなったが、まずはハギの成長を見守っていただきたい」
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