「鎌倉からJリーグへ」。そんな夢を掲げるサッカークラブが、活動を開始した。現在は県社会人リーグ3部に所属しており、国内最上位であるJ1まで昇格するには早くとも8年かかる。道のりは遠く険しいが「インターナショナルなクラブ」を目指すチーム関係者の視線は、日本を飛び出し、世界へと向けられている。
9部からのスタート
「鎌倉インターナショナルFC」は今年1月に発足。現在は選手18人が所属し、5月に開幕した神奈川県社会人サッカーリーグ3部を戦っている。「9部」にあたるためJ1までは最短でも8年はかかる計算だが「あくまでJリーグ」を目標とする。
そんなチームの代表を務めるのが四方(よも)健太郎さん(=人物風土記で紹介)だ。「小学校時代にサッカーチームに所属していた」というものの、競技経験はほとんどない四方さん。しかし大学1年生だった1998年にフランスW杯を現地で観戦して以来、サッカーのとりことなった。2010年南アフリカ大会時には、友人とともに出場する32カ国を巡る世界一周の旅を敢行するなど、日本代表の熱狂的なサポーターとして知られている。
一方、本業では外資系企業の経営コンサルタントとして中国などで経験を積み、現在はシンガポールを拠点に人材教育の会社を経営している。
サッカーと仕事を通じて世界と向き合ってきた四方さんには、現在のサッカー界と日本への危機感があったという。「インターネットの普及や交通技術の発達で世界はどんどん狭くなっている。特にサッカーは世界共通の言語とも言われる国際的競技なのに、Jリーグは国内にばかり目が向いている気がしていた。何よりも日本という国自体を覆う閉塞感を打ち破りたかった」
そんな1年ほど前のある日、シンガポールで偶然知り合った人が元サッカー選手でしかも鎌倉出身だと知る。「話を聞くうちに海外からの注目も高く、既存のJチームがない鎌倉でサッカークラブを、それも国際化をコンセプトに作れば、面白い化学反応が起こせるはずだと考えるようになった」と振り返る。
横浜市出身で「鎌倉にはほとんど縁がない」という四方さん。しかし帰国の度にチームの構想をまとめた資料を手に地域を駆け回っていると、鎌倉ゆかりの選手や指導者、チームスタッフら賛同者が次々と集まった。
今年1月に正式にチームが発足。名称はコンセプトを表す「鎌倉インターナショナルFC」とし、チームの事務所や練習拠点は深沢に置いた。
人材育成も
6月9日のリーグ戦では公式戦初黒星を喫するなど、前途は多難だが関係者にあせりはない。
すでにフランス、アメリカなど海外挑戦を果たした選手がいるほか、今年8月にはシンガポール遠征を予定するなど、チームが掲げる「インターナショナルな人材の育成」は着々と始まっているからだ。「強くなることは大切だが、それ以上に『何か面白そうなことをやっているな』と思ってもらえたら。地域を一つにするアイコンのようなチームになりたい」と四方さんは話している。
今後は鎌倉市社会人選手権決勝の鎌倉市役所との試合が、7月8日(日)の午前11時20分から、笛田公園で開催される。
チームへの問い合わせは【携帯電話】080・9713・5629田中さん、または【URL】http://kamakura-inter.comで確認を。
鎌倉版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|