鎌倉市や国土交通省などで組織する「鎌倉エリア観光渋滞対策実験協議会」の会合が7月31日、市役所で開かれた。このなかで6月に鎌倉地域で実施された交通状況調査の結果が報告され、休日には自動車の速度が県平均の5割程度にとどまるなど、渋滞の影響が改めて明らかになった。こうしたデータは、市が目指す「ロードプライシング」(課金による流入抑制策)導入に向けた取り組みにも活用される予定だ。
鎌倉市内では、観光スポットの多い鎌倉地域で休日を中心に激しい渋滞が発生し、市民生活に大きな影響を及ぼしてきた。
そこで市は2013年から、「(仮称)鎌倉ロードプライシング」導入の検討を開始。14年5月には、市長の諮問機関である鎌倉市交通計画検討委員会の専門部会が「土日祝日を中心に50〜120日程度」「市民負担は来訪者の0〜1割」などとする素案を発表した。
さらに鎌倉市が昨年、国交省が先駆的な渋滞対策を実施するために公募した「観光交通イノベーション地域」の「実験実施地域」に決定したことから、同年12月に国や県、市、有識者らからなる「鎌倉エリア観光渋滞対策実験協議会」が発足し、市の取り組みを支援することになった。
今回の会合では、6月に閣議決定された「未来投資戦略2018」に料金施策を含む観光地の渋滞対策が盛り込まれたことのほか、あじさい観光がピークを迎えた6月11日から17日まで実施された自動車の流動状況の調査結果が報告された。
最新技術で実態解明
調査は鶴岡八幡宮を中心とした約12平方キロで、通行経路や急ブレーキなどの情報を収集できるETC2・0可搬型路側機2台のほか、AIカメラ8台など、最新の技術を用いて行われた。
その結果、期間内の「旅行速度」(区間の総延長を走行に要した時間で割った平均速度)は、平日が時速20・3Kmで県平均(時速33・5Km)の6割程度、休日は時速18・1Kmで、県平均(時速34・7Km)の5割ほどにとどまり、渋滞の常態化がデータでも裏付けられた。
また、同乗者が前のめりになるような急減速は、平日が1日6・94回、休日には10・05回発生。いずれも周辺地域より3〜4倍高く安全性に課題があることも報告された。
一方で課金の有効な手段の一つと考えられているETCについて、休日に北鎌倉から流入した車両の搭載率が約7割に上っていることも分かった。
市「来年度に社会実験」
市はこうしたデータを、ロードプライシング導入に向けた周知などに活用したい考え。今年度はシンポジウムを開催するとともに、19年度に独自の社会実験も予定しており「国とも連携して、検討を進める」としている。
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鎌倉市交通安全対策協議会初詣に合わせて鎌倉駅周辺の交通規制を行います。鎌倉への初詣は電車・バスをご利用ください。 https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/koutsuu_anzen/nennmatsu.html |
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