耐震改修を施した上で学童保育施設としての利用を目指している旧町立図書館の建物について鎌倉市は、12月5日に開会した市議会12月定例会に、実施設計を修正するための費用約1070万円を盛り込んだ補正予算案を提出した。学童保育施設は当初、来年4月のオープンを予定していたが、土台などに想定以上の腐朽が見つかり工事がストップしたままになっている。追加工事が完成し、利用が始まるのは早くとも2021年7月で、もともとの計画から2年以上遅れる見通しだ。
6月に工事中止
旧町立図書館は1936年、篤志家・間島弟彦の資金提供により建設された。74年に現在の中央図書館が完成した後は、教育センターの事務局などが置かれてきたが、耐震性能不足などから2014年にいったんは解体が決定した。
しかし市民団体から保存を望む意見が寄せられたことや「構造的に安定している」とする専門家の診断をもとに、保存して学童保育施設「(仮称)おなり子どもの家」として活用することが決まった。今年3月には、耐震改修とプレイルームを増設するための工事に着手した。
しかし工事が始まると、事前の診断では確認できなかった土台部分の木材などに想定以上に腐朽があることが判明。6月12日に工事を中止していた。
費用約1.5倍に
市はその後も現状の部材などを活用する方針を軸に手法等の検討を進めてきた。その結果、設計を修正するための費用1070万3千円を盛り込んだ補正予算案を、12月5日に開会した市議会12月定例会に提出した。
またそれに伴って、市役所第4分庁舎を「(仮称)おなり子どもの家」の代替施設として利用するためにレイアウトの変更等が必要として、そのための費用1164万3千円も追加補正した。
市こども支援課は「補正予算が議会で承認されれば事業者の選定に入り、来年2月頃には契約したい」とする。作業期間は約7カ月を見込む。
設計の修正と追加工事が順調に進んでも、子どもの家としての利用開始は21年7月となる。当初の予定から2年以上遅れることになるほか、費用も約2億5千万円から約3億7千万円にまで膨らむ見通しという。
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