女性が開発に貢献した優れた商品やサービスを県が認定する「神奈川なでしこブランド2019」がこのほど発表され、2月3日には横浜市内で認定式が行われた。市内からは谷山綾子さん(七里ガ浜東在住)が開発した低出生体重児用肌着が認定を受けたほか、料理研究家の矢野ふき子さん(岡本在住)が進める「鎌倉海藻飼料の開発と活用」が、今後の商品化が期待される「なでしこの芽」に選ばれた。
低体重児用肌着を開発
谷山さんが開発した低出生体重児用肌着「orinas」は、一般的な新生児用肌着より一回り小さく体重2000gほどの赤ちゃんでも着用しやすいのが特徴。肌に優しいダブルガーゼを使用しているほか、色もピンク、ブルー、イエローなどが用意されている。
開発のきっかけは、谷山さんの次男が胎在週数23週、体重445gで生まれたこと。「既製品ではサイズが大きく、すぐにはだけてしまう。ぴったりの服を着せてあげたかった」と振り返る。
そこで谷山さんは友人らに協力を呼び掛け、型紙を作成。各地の縫製工場に打診し、17年春に商品化にこぎつけた。同年7月に自ら立ち上げたネットショップ「ベビーストリア」で販売をスタートさせると、口コミで評判が広がったほか、多くのメディアで紹介されるなど注目を集めた。
谷山さんは「認定してもらえて嬉しい。たくさんのお母さんにとって、特別な肌着となり、お子さんの成長の喜びを感じてもらえれば」と話すとともに「小さな赤ちゃんを出産した人は育児への不安が強く、周囲と比較して傷付くことも多い。母親同士のつながりをつくり、不安を和らげる活動も進めたい」とした。
海藻飼料でブランド豚
矢野さんの「鎌倉海藻飼料の開発と活用」は、今後の商品化が期待される優れたアイデアで、応募者自らが商品化に取り組む「なでしこの芽」に認定された。
市内岡本で料理教室を主宰する傍ら、鎌倉漁業協同組合と「シラスの沖漬け」を開発し、「なでしこブランド」に認定されるなど、6次産業化(農林水産業者が資源の加工、販売まで行うこと)を推進してきた矢野さん。
今回の取り組みは、鎌倉の海岸に流れ着く海藻を飼料に加工し、県内の養豚業者に提供することで、新たな「ブランド豚」の開発を目指すもの。海藻の回収や加工を福祉作業所に依頼することで、障害者の収入増にもつながる仕組みだ。昨年秋から海藻飼料を与えた豚の育成もスタートしている。
鎌倉の海岸に漂着する海藻の量は年間3000トン以上。多くはカジメやアラメといった海藻で、栄養価が高く食用にもなるが市場ではほとんど流通していないという。
矢野さんは「これまで利用できなかった鎌倉の海藻で飼育された豚肉が、市民の皆さんの食卓に届くようにプロジェクトを進めていきたい」と意気込んでいる。
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