鎌倉の世界遺産登録に向けた活動を続けてきた4県市(神奈川県、鎌倉市、横浜市、逗子市)の「推進委員会」は11月22日、登録に向けた推薦書案の作成を「2020年度以降、当面の間休止する」と発表した。13年4月にユネスコの諮問機関から不記載勧告を受けた後も新たなコンセプトの構築を目指して研究・調査を進めてきたが、「ただちに再推薦に向けた推薦書案を作成できる状況にない」と判断した。
「鎌倉を世界遺産に」という動きは、1992年に国が世界文化遺産の暫定リストに「古都鎌倉の寺院・神社ほか」を記載したことに始まる。
2004年には「武家の古都・鎌倉」のコンセプトがまとまり、寺社や切通など21の「構成資産」を有する鎌倉市、横浜市、逗子市に神奈川県を加えた4県市が07年、「世界遺産登録推進委員会」を設置した。
12年1月に国がユネスコへの推薦を決定し同年、諮問機関イコモス(国際記念物遺跡会議)の現地調査も行われた。
しかし13年4月、イコモスが「現在の資産の状況では、鎌倉の歴史的重要性が示せていない」などとして、世界遺産への「不記載」を勧告。そのため4県市は、推薦を取り下げ再挑戦を目指す意向を明らかにしていた。
宗教・文化に着目
4県市ではその後、再推薦・登録に向けた新たなコンセプトの構築を目指し、禅や鎌倉新仏教など、宗教・文化に着目した研究を開始。特に鎌倉独特の葬送施設である「やぐら」に関しては、中国から専門家を招いて共同研究を行い、「起源を中国の類似する遺構に見いだせる可能性が高まった」とするなど、一定の成果を得たとする。
ただ、イコモスが求める「普遍的価値の証明」が可能な新しいコンセプトの構築にはさらに時間がかかることから、20年度以降、推薦書案の作成に関する活動を当面休止することを決定した。委員会そのものは存続するという。
この日、取材に応じた松尾崇市長は「世界遺産登録をあきらめたわけではないが、時間軸を中長期なものとして、4県市それぞれで調査を進めていく。鎌倉市としては歴史的遺産と共生するまちづくりをしっかりと続けていきたい」とした。
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