「いろんなカタチ新聞」という一風変わった冊子がこのほど発行され、子育て中の親や子どもの間で話題を呼んでいる。制作したのは鎌倉在住の主婦4人。イラストとともに、読者の「きもち」が分かるアンケートが記載され、発達が多様な子どもとその家族など周りを取り巻く人が互いに共感する力を養えるような工夫が盛り込まれている。
制作したのは、市内小学校で絵本の読み聞かせをするボランティアなどを通じて知り合った小宅まどかさん、細田愛子さん、松本牧子さん、松田佳栄さんの4人。自閉症や発達障害の子どもがいる家族から、相談を受けることも多かったという。
「みんな必要な情報や支援にたどり着けずに困っている。発達支援や特別支援教育への理解、つながりづくりを応援したい」と3年前、市民団体「いろんなカタチ鎌倉」を結成。以降、家庭や学校で生きづらさを感じている子どもを対象としたセミナーなどを通じて、啓発活動を実施してきた。
さらに「より多くの人に情報を発信したい」と昨年11月から、市との協働事業として新聞制作がスタートした。
強み発見、他者と共感
A4サイズ、4ページの新聞の表紙を飾るのは、喜怒哀楽さまざまな表情を浮かべた子どものイラスト。加えて特徴的なのは、一方的に情報を発信するだけでなく、直接書き込める「ワーク式」にしたことだ。
子どもが自身の心の状態を整理して強みを再発見するとともに、家族や友人など普段関わる人と心を通じ合わせ、理解する能力を養う狙いがあるといい、これまで「じぶん説明」「個性はナニイロ」と毎号異なるテーマで発行してきた。
11月に発行した3号は「きもち」。「給食」「運動会」「休み時間」「音読」といった分類から、「すき」「ふつう」「きらい」の3つを選び、その理由を書き込むアンケートが記載されている。
小宅代表は「読者からは『親子で楽しめた』『発達障害の子どもが笑っていた』などの声が多数寄せられている。子どもには得意も苦手もある。たくさんの方が多様性について知り、支え合い、それぞれの育ちを応援する優しいつながりが広がれば」と話している。
紙面は毎号約2万部発行。鎌倉の市立小中学校や私立幼保育園などで配布されたほか、市役所や図書館、子育て支援センターといった行政施設などでも手に取ることができる。
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