鎌倉のとっておき 〈第86回〉 北条義時、Who?
2022年NHK大河ドラマが『鎌倉殿の13人』に決まり、舞台となる鎌倉では1979年の『草燃える』以来の盛り上がりも期待されるが、主人公の北条義時は、一般にあまり知られた人物ではないかもしれない。
義時は、源頼朝(鎌倉殿)の妻・北条政子の弟で、平氏との戦いをはじめ、幕府づくりやその運営などで頼朝を支え、源氏が途絶えた後の幕府では、北条一族が実権を握った「執権政治」(専制政治)の礎(いしずえ)を政子とともに築いた武士である。
1199年の頼朝亡き後、2代将軍・頼家時代以降の幕府運営は当初、義時を含む有力な武士など13人の合議で進められていった。その後1221年、朝廷と幕府で全国を二分した「承久の乱」が勃発し、当時の執権だった義時は、後鳥羽上皇から朝敵とされたが、政子とともに武士(御家人)を統率して朝廷の軍を打ち破り、武家政権を確立したのである。
義時には、結婚にまつわるこんな逸話が残る。多くの御家人が嫁にしたいと願っていた美貌の女官「姫の前」に恋焦がれた義時は、熱心に恋文を送ったが、なかなか口説き落とせなかったという。可哀そうに思った頼朝は「私が口をきいてやるから、絶対に離婚しないと文書で誓約しなさい」と厳命したうえで仲を取持ち、ニ人はめでたく結ばれたという。
妻を複数持つなど結婚の自由度が高かった当時、義兄頼朝との関係や義時の思いが伺えるエピソードである。
石塚裕之
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