市内笛田在住の仏師、大森昭夫さんが昨年末、四天王像を完成させた=写真。青森県の寺からの依頼で制作したもので、関係者からは「力強い姿に勇気をもらった」などの声が上がる。大森さんは「コロナで傷ついた人々の癒しになれば」と話す。
笛田在住の仏師・大森さん4年かけ制作
大森さんは1951年、山形県鶴岡市生まれ。仏具会社の彫刻部などで働き、各地の仏像制作や修理に携わった後、91年に独立した。
十一面観音菩薩像の修復を担当したことなどから、95年に長谷寺の美術顧問に。
鎌倉へと拠点を移した後、2005年から仏像彫刻教室も始め、現在は約60人が学ぶ。
今回の四天王像は、青森県青森市にある青龍寺から依頼を受けて制作したもの。大森さんは「お寺とは40年近い付き合い。先代住職の織田隆弘さんは思ったことをストレートに言う人でぶつかったこともあったけれど、仏師として成長させてもらった恩人の一人」という。
そんな同寺が進める「平成の伽藍整備」の一環として建設する中門に、四天王像を納めることになり、再び大森さんに白羽の矢が立った。
祈り受け止める像を
「この世に美術品としての仏像はない」がモットーという大森さん。制作に当たっては、中門が建設される場所にも足を運び、イメージを膨らませた。「雪国の厳しい冬に耐える人々の祈りを受け止められるのはどんな仏像なのか。それが想像できなければノミは振るえないと思った」
こうして約4年の歳月をかけた四天王像が昨年11月に完成した。
仏教世界を東西南北に位置して守る四天王。その姿は威厳に満ちる一方で、踏みつけられている邪鬼がリンゴを手にしていたりと、ユーモラスな表情も見せる。
関係者にのみ公開
当初は一般公開なども考えていたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中止。昨年11月下旬に関係者や仏像教室の生徒など一部の人だけを対象に「お披露目」を行った。
仏像教室に通う川崎義夫さんは「着物のひだの表現など、さすがのひと言。何よりも一彫一魂の迫力を感じる」と話す。
大森さんは「四天王を見て『勇気づけられた』『気持ちが強くなれた』と声をかけてくれた人がたくさんいた。私自身も仏の教えに導かれて、この仕事を続けることができたと思っている。新型コロナで世の中全体が不安な気持ちだと思うが、少しでも穏やかな気持ちになってもらえたら」と話していた。
四天王像は4月頃に青森へと運ばれ、6月20日に同寺で中門の落慶法要と像の開眼が執り行われる予定となっている。
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