市民団体「図書館とともだち・鎌倉」(通称ととも)は「鎌倉市に司書資格を持つ正職員の新規採用を求める」署名を9月2日、松尾崇市長に提出した。和田安弘代表は「約30年間、正職員の司書の新規採用がなく、あと数年で力量ある職員が退職し、いなくなってしまう。市民の声を届けることで、前向きに検討してもらいたい」と訴える。8月12日に岩岡寛人教育長にも提出しており、合計で3872筆を手渡した。
鎌倉市では、市役所全体の職員数適正化計画の一環で、1993年を最後に専門技術職である司書としての正職員の採用を取りやめている。
これを受けて、とともでは、司書職の正職員の新規採用を要望する活動を20年にわたって続けてきた。2006年から19年にかけて今回と同様の要望書を市へ4回提出。18年にも近代史資料室への専任正職員の配置と、それに伴う新規採用を要望してきた。
しかし、新規採用は行われないまま現在に至り、司書職の正職員はピーク時の3分の2にまで減少。さらに危機感を覚えたとともでは、今年、署名活動に踏み切った。ウェブサイトで電子署名も集め、「市民の声」として市へ要望と共に提出した。
「世代交代が必要」
鎌倉市中央図書館によれば、現在、市全体で18人の正職員が勤務。そのうち司書として採用されたのは8人、残る10人は事務職員として採用されているが、現時点では全員が司書の資格を持っている。また有資格者を対象に、短期的に採用している会計年度任用職員は30人勤務している。
有資格者の職員は揃っているが、とともが訴えるのは「正職員としての新規採用の再開」だ。司書は、膨大な量の資料・情報から限られた予算で必要なものを選び、利用者の相談に対して適切な資料の提供などを行う。
「近代史資料室のある鎌倉市の図書館司書には、近代までの鎌倉に関する地域・歴史資料に通暁していることが求められる」と和田代表。そのためには、情報を熟知している経験豊富な司書がいるうちに、新たな世代の司書を時間をかけて育てる必要があると話す。
市長「再考すべき」
司書職の採用については、19年〜23年度の第3次鎌倉市図書館サービス計画の中でも「課題」として触れられている。「技術の継承が危機に瀕している」として、解決するための目標に、「有資格者の司書職への配転」や「司書職員の採用を目指す」などを挙げている。
署名を受け取った松尾市長は、「今一度再考していくべきと考えている。教育委員会と共に検討する」と話した。
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