浄明寺在住のフォトジャーナリスト・高橋智史さん(39)が9月14日、欧州最大級の国際写真コンテスト「パリ写真賞」で3作品の受賞を果たした。ゴールドアワードに選出された写真集「RESISTANCE カンボジア 屈せざる人々の願い」(秋田魁新報社)は、2019年に土門拳賞も受賞している。
パリ写真賞はプロとアマチュアに分かれ、写真集や自然など8部門ごとに1位、2位、ゴールド、シルバー、ブロンズ等の賞を選出。高橋さんは、プロ写真集部門でゴールドアワード、プロ報道写真部門でカンボジアの女性活動家テップ・バニー氏を収めた写真がシルバーアワード、故郷・秋田伝統のハタハタ漁の様子を伝える写真が佳作相当に選ばれた。
高橋さんは「戦争などで苦しむ弱い立場の人を支えたい。どんなに悲惨な状況も知らなければ、関心を持ったり思いを寄せたりはできない」と日本大学芸術学部写真学科に進み、在学中の03年からアジア各国での取材をスタートさせた。
中でも取材に注力してきたのがカンボジアだ。ポル・ポト派による独裁と大量虐殺という暗い歴史を持ち、フン・セン政権による強権支配が30年以上続いてきた同国。自身も危機に晒されながら撮影したのが、命がけで抗う人々の姿だ。政権に異を唱える女性活動家のテップ・バニー氏が目の前で連れ去られる時も、断腸の思いでシャッターを切り続けた。
そんな「命がけの思い」を伝えるため、18年12月に出版したのが今回、ゴールドアワードを受賞した写真集だ。
「彼らの勇気に与えられた賞」
受賞を受け、「カンボジアの人々の弾圧に抗う切なる願いと、故郷秋田の受け継がれし伝統の願いが、このような形で世界に届いたことをうれしく思う。この賞は、彼らの勇気に与えられた賞です。賞を通じて、カンボジアの現状と弾圧に立ち上がり続けた人々の切望、そして故郷秋田の伝統に、関心を寄せていただくきっかけとなれば」と喜びを語る。
また、この2年間はコロナ禍で行けずにいるが、「カンボジアでは今も強権的な体制下で不当な形で投獄に追い込まれている人権活動家や亡命に追い込まれた人々がいる。彼らと同じように私自身も決して屈することなく、情熱の全てを込めてシャッターを切り、人々から託された願いを伝え続けていきたいと思う」と前を見据えた。
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