カラフルなパーカーとニット帽に身を包み、プロカメラマンの鈴木秀幸さんによって2月下旬に撮影された左の1枚。被写体となった大船在住・KARENさんは昨夏、病気の影響で全身の毛が抜け落ちてしまった。ウィッグを、撮影に合わせてウィッグ&ヘアメイクアーティストのMotoki Saikaさんが創作。KARENさんは、スキンヘッドを生かしたモデルとして活動をスタートさせた。
きっかけは「まちのコイン」
「関西出身のふつ〜のオカンです」。 そう語るKARENさんが注目を浴びたのは、今年1月に鎌倉市役所で開かれた授賞式。鎌倉市と(株)カヤック(御成町)がSDGs推進を目的に提供する電子地域通貨サービス「まちのコイン」(通貨単位「クルッポ」)の1周年を記念して、サービスを多く利用した市民や店舗を表彰。KARENさんは登録名「あかりママ」として、ユーザー部門3位に輝いた。
その授賞式に、自身でコーディネートしたウィッグと着物で出席したKARENさん=写真右=は、スピーチですべてをさらけ出した。「私は全身の毛がありません。2歳の娘がいますが頼れる祖父母はおらず、私の病気や障害によって医療費もかさみます。未来ある娘のために、まちのコインで貯めたクルッポを規格外野菜や絵本と交換して節約。夫、娘と一生懸命感謝の気持ちで生きています」。授賞式でのスピーチや着物姿が評判を呼び、スキンヘッドモデルとして、髪を失った人を支援するNPO団体「ASPJ」、ネットフリックス出演アーティストとのコラボ、大手化粧品メーカーとの企画が現在進行中だ。
娘に見せる「前向きなママ」
スピーチで触れた、「頼れる祖父母がいない」-。KARENさんは幼少期、両親からの虐待やネグレクトの中で生き抜いてきた。家庭や地域に居場所はなく、実家をも飛び出した。
持病を抱えながらもダンサーとして活動し、今の夫と出会い、2年前には娘を授かった。病気と闘い、子育てにも奮闘する日々。まちのコインでは節約とともに、クルッポが使える加盟店へ足を運ぶことで地域住民との交流も生まれた。「病人が下を向いたらダメになる。前向きに、おしゃれに生きるママの姿を娘に見せたい」。同じ闘病中の人や、家庭環境で苦しむ人々へ勇気を与えようと、新たなアクションを起こしている。
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