地元を舞台にした紙芝居や絵本を描く 渋谷 雅子さん 城廻在住 78歳
「ちょっと昔」に筆が乗る
○…地元の人に取材した昔の生活などを紙芝居に描いてきた。その1つに、90年ほど前の玉縄の子どもの暮らしを描いた『鎌倉玉縄のちょっと昔のお話し』がある。このほど、女性ボランティアグループ「コソガイ」と玉縄図書館の協力のもと、四半世紀ぶりにリニューアル。図書館での上演や展示など、再び地域で楽しんでもらう機会も増えてきた。
○…原点は絵本教室。体調を崩し、幼稚園教諭を辞めた後、当時住んでいた藤沢市の教室に通い始めた。「かわいい絵本」を思い描いて集まった生徒に与えられたテーマは地元の「舟地蔵伝説」。地域の人に聞けば、城の秘密を話してしまい、殺された老婆の悲しい話で、「首をはねられるおばあさん…こんな怖いのを描くの?」と皆で思いながらも、作ること自体は楽しく、作品は地元でも好評だった。「絵本の作り方は教えず、粘土に染め物、なんでもやる先生だったけれど、それがかえって面白くて」
○…城廻には35年ほど前に、家族4人で転居。わが街の「昔」に興味がわき、作ったのが冒頭の作品だ。その後も、知人からの依頼を受けては、絵や紙芝居を制作。創作活動のほかにも、自治会館のなかよし文庫に、学童保育での木の実の工作指導、シニアの集いの場の世話人など、熱心に取り組んできた。
○…思い入れが強いのは、漁師と大部屋俳優の二足のわらじで活躍した加藤茂雄さんの幼い頃を描いた絵本『茂さん〜鎌倉長谷のむかしむかし』。手書き文字にこだわった絵本作りと、出版のための資金集めに仲間と奔走した日々は記憶に新しい。「加藤さんのお話はどれも面白くて、取材が楽しかった」。自身が感じた魅力を、作品を通して地域に伝わるよう、今日も絵筆を執る。
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