新型コロナの水際対策が10月11日から大幅に緩和され、鎌倉から姿を消していた外国人観光客も少しずつ戻ってきた。同日には、国内旅行の宿泊代金などを補助する「全国旅行支援」もスタート。地元の事業者からは、観光経済回復への期待の声があがっている。
「この日を待っていました」。旅館やホテルといった宿泊施設、みやげ店、飲食店などの関係者はそう口を揃える。
11日、これまでパッケージツアーに限定された訪日観光で、個人旅行が解禁。3回目のワクチン接種証明書または陰性証明書があれば、入国時の検査は不要に。1日あたり5万人の入国者数上限も撤廃された。
鎌倉大仏前でみやげものを扱う山海堂商店の亀ヶ谷明さん(72)は、「やっとだね」と頬を緩ませる。来店者の7割を外国人が占めていた同店は、2020年のコロナ襲来から売上は4分の1に減っていた。しかし、今回の規制緩和を機に再び外国人客の姿が。17日午後2時ごろには、観光で来日したというフランス人女性をはじめ、店内は外国人客であふれた。
小町通りの飲食店で働く男性は、「外国人が明らかに増えた。ヨーロッパの人々が目立つ」と店頭の往来を眺めながら話す。鎌倉パークホテル(坂ノ下)でも、海外からの宿泊予約が徐々に入り出したという。
インバウンド需要を見据え、ホテルメトロポリタン鎌倉は若宮大路に20年4月開業。時を同じくして、国内ではコロナ禍が始まった。広報の渡邊智彦さん(42)は、「この2年は海外からのお客様はほぼゼロ」。それでも従業員の英会話研修は続け、「やっと実践できる時が来た」と喜ぶ。
宿泊施設では、全国旅行支援の予約が好調。かいひん荘鎌倉(由比ガ浜)では、11日の開始から3日ほどで割引枠が埋まった。鳩サブレーの豊島屋では、鎌倉応援キャッシュレスキャンペーンが売上を後押し。「修学旅行や遠足客も増え、忙しさが戻ってきた」(豊島屋)
コロナ前は年間約2000万人の観光客が訪れていた鎌倉だが、21年は657万人にまで落ち込んだ。市観光協会の大津定博専務理事(59)は、「コロナ前のインバウンド率は15〜20%と言われていた。感染対策をした上で、国内外から多くの人に鎌倉へ来てもらえれば」と期待を寄せる。
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