鎌倉市が改修・増築工事を進めていた鎌倉市旧図書館(御成町)が、学童施設「放課後かまくらっ子おなり」として3月27日(月)に開所する。2014年に閉鎖した建物は、老朽化や耐震強度不足などのため、当時は解体を予定。しかし、市民団体らによる保存を求める活動が始まり、学童施設としての活用に方針が転じた。工事が始まってからも想定以上の腐朽などの課題も見つかり、当初の予定から4年遅れての開所となった。
スクラッチタイルのついた洋風の壁面に、瓦屋根や懸魚(げぎょ)(飾り)のついた破風板などの和洋折衷のデザインが特徴の旧図書館。玄関上の屋根の瓦や木製の階段、柱、はり、上げ下げ窓は修理し再利用している。トイレやエレベーター、プログラムなどで活用する約150平方メートルのプレイルームなどは増築部に設けた。
解体取りやめ保存
旧図書館は、関東大震災で倒壊した後、篤志家の間島弟彦・愛子夫妻の寄付で1936年に建設。74年の中央図書館開館に伴い、事務室として2014年まで活用された。老朽化などを理由に市は解体を予定していたが、市民団体から陳情が出るなど、保存を求める活動が起こり、市は方針を一転。保存・活用すると15年に決定した。
19年4月の開所を目指し、工事に着手したが、土台部分の木材が想定以上に腐朽していたことや、エレベーターが設置できないなどの課題が判明。これに伴い、工事が中断し、設計の修正や追加費用の補正に時間を要し、開所を延期してきた経緯がある。
「放課後の思い出に」
「放課後かまくらっ子おなり」は、御成小などに通う児童向けの放課後子どもひろば(アフタースクール)と子どもの家(学童保育)の複合施設で、乳幼児も利用可能。
21日に行われた式典では、関係者が集い、オープンを祝った。松尾崇市長は「さまざまな困難を乗り越え今日を迎えた。鎌倉を象徴する建物となっていけば」と話し、岩岡寛人教育長は「放課後かまくらっ子が子どもたちの良い思い出になってほしい」とあいさつ。
式典後には、希望者を対象に内覧会が行われた。御成小代表の一人として参加した女子児童は、「(工事中の様子を見てきたので)中は広くてきれいで驚いた」と話した。母親は、「子どもたちが鎌倉の文化や歴史を生活の中で感じられるのはすごく良いこと」と笑顔を見せていた。
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