大詰めを迎える大相撲秋場所。今場所で殊勲賞、敢闘賞、技能賞の三賞受賞者のいずれかに、鎌倉彫の印鑑が贈呈される。受賞者に向け、印章店の鎌倉はんこ(御成町)と鎌倉彫を手がける博古堂(雪ノ下)が共同で制作したオリジナル新作。場所ごとに継続して贈呈していく予定で、両者は「力士みんながこの印鑑を持っているようになればいいですね」と期待を込める。
活躍した力士に贈られる記念品の企画は、雑誌「大相撲中継」(毎日新聞出版発行)から鎌倉はんこへオファーがあった。同店の月野允裕さん(44)は「国技の相撲にまつわる記念品で、日本らしい、さらには鎌倉らしいものを作りたい」と、鎌倉彫をリードする「後藤家」の博古堂へ相談。快諾した後藤尚子社長(64)は「これまでに力士が鎌倉彫の商品を手にしているのを見たことがない」と言い、月野さんと試行錯誤しながら制作を進めていった。
6月下旬から3カ月かけて完成させた記念品は、持ち手の部分を博古堂が担当。力士の力強さを渦で表現し、彫刻と漆塗りで仕上げた。印面には、鎌倉はんこが受賞力士の名前を入れる。
記念品の贈呈対象となるのは、7月に開催された名古屋場所から。同場所では、殊勲賞を初めて獲得した錦木に完成した記念品が今後贈られる。
「力士にパワーを」
博古堂が店舗を構える鶴岡八幡宮には、戦に臨む武士たちが御神印を額に当てる「御判行事」が伝わる。鎌倉の伝統になぞらえ月野さんは、「鎌倉彫の印鑑が力士にパワーを与えられたらうれしい」と話す。今場所以降も、三賞受賞者のいずれかに印鑑が届く。
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