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大船中央病院に聞く ぜんそく治療の進歩 コントロール不良の改善に向けて
気管支の慢性的な炎症で発症し、アレルギー疾患の1つに数えられる「気管支ぜんそく」。
「ぜんそく治療は、直近30年で大きく進歩しました」と話すのは、大船中央病院呼吸器病センターの榎本達治医師。気管支ぜんそくの死者数は、1990年前半まで年間約6千人。吸入ステロイド薬(ICS)や気道を広げる薬剤である長時間作用性β2刺激薬(LABA)の導入が進み、2022年には1004人まで減少した。
気管支の収縮抑制
死者数減少の一方で、気管支ぜんそくの有症率は年々増加。成人の10人に1人が発症し、33%の患者が治療目標に未到達の「コントロール不良」に陥っている。
コントロール不良の改善に向け、近年投与が進むのが長時間作用性抗コリン薬(LAMA)と生物学的製剤。LAMAは、LABAとは異なる作用で気管支の収縮を抑制する働きがあり、ICS・LABAとの併用で、治療選択の幅が広がっている。榎本医師は、「LAMAは、ICSとLABAでコントール不良の患者さんや喫煙歴のある患者さん、咳込みや夜間症状の強い症例に有効です」と話し、3剤の併用でコントロール不良の改善を図る。
さらにコントロール不良の場合に考慮するのが生物学的製剤。現在5種類の生物学的製剤が使用可能で、これらを適切に使用しトータルコントロールを目指す。
アレルゲンに慣らす
スギ花粉やダニによるアレルギー性鼻炎を併発した患者が、治療選択できるのが「舌下免疫療法」。「QOL(生活の質)改善や、ぜんそく治療薬の減少にもつながります」と話すのは、呼吸器病センターの増田誠医師だ。
舌下免疫療法は、錠剤を1日1錠舌下に投与し、アレルギーの原因物質であるアレルゲンを体内に吸収させ、アレルギー反応を弱めていく。「治療期間は3〜5年ですが、継続すればアレルギー症状の緩和が期待できます。当科では気管支ぜんそくの治療中で、アレルギー性鼻炎を合併する患者さんに推奨しています」(増田医師)
榎本医師と増田医師は、「気管支ぜんそくは成人になってからも発症します。香水やたばこ、冷蔵庫の冷気、鍋の湯気などで咳込むことが続く場合は、気管支ぜんそくが疑われます。症状に応じてさまざま治療法を提案します」と語る。
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