材木座の「関係案内所はつひので」からスパイスの香りが漂う。月に一度、スリランカカレーを振る舞うのはアルペなんみんセンター(十二所)で暮らすリヴィさん(50)。難民認定を目指すリヴィさんにとって、カレーを味わいながら集った人々と話すのは楽しいひとときだ。
リヴィさんのカレーは、母直伝の味。大鍋で鶏肉やジャガイモをスパイスと一緒に煮込み、日本人向けのマイルドな辛さに仕上げる。8回目の開催となった2月15日も、「いっぱい食べて」と振る舞うと、参加者からは「おいしい」「スリランカカレー大好き」と笑顔が返ってきた。
スリランカへ渡航歴がある参加者とは、紅茶の名産地ヌワラエリヤの茶畑や高原列車の話に花が咲いた。一方で、母国で銃撃を受けた際にできた腕の傷を見せ、「今も痛い」と打ち明けた。
「カレー店」夢見て
リヴィさんは、スリランカが内戦中の2002年に友人を頼って日本の栃木県に逃げてきた。母国では大臣のボディーガードをしていたが、武装組織のことを密告したことで命を狙われるようになり、国外への避難を決意。家族はアメリカやカナダの知り合いを伝手に散り散りに逃げた。
言葉も分からないまま、日本に逃げてきて20年以上が経った。今では、会話も難なく日本語ででき、「これからも日本にいたい。(難民認定されたら)カレーの店を出したい」と思うまでに日本を好きになった。
難民認定の高い壁
リヴィさんは現在、1回目の裁判中で3回目の難民認定申請中だ。
だが、日本の難民認定率は低いのが現状だ。2022年の難民認定申請者は3772人、認定されなかったことに不服がある人による審査請求は4461人。その中で難民に認定されたのは202人で認定率は約2%だった。0・3%以下だった5年前と比べると上がってはいるものの、認定率の高いイギリスは約70%、認定数の多いドイツは約20%と他国よりも低いことが分かる。
現在リヴィさんは、就労ができず移動制限もある「仮放免」中のため、月1回のカレー会もボランティアでの参加だ。次回は3月14日(木)の正午から。参加費は1500円と投げ銭。はつひのでのインスタグラムやフェイスブックから予約を。
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