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大船中央病院に聞く 早期肺がんを無傷で治すために
――大船中央病院放射線治療センターの西村修一医師に、定位放射線治療(SBRT:Stereotactic Body Radio Therapy)について話を聞きました。
SBRTは、早期肺がんに対する根治性の高い治療です。早期肺がんの標準治療は手術ですが、高齢や基礎疾患の問題で手術に適さない患者さんや、手術を希望されない患者さんに適応となります。ただし、手術ができないから仕方なく受ける治療ではありません。手術と遜色ないSBRTの治療効果が示されてきており、積極的に選ぶべき治療になりつつあります。肺がんのみならず、大腸がんや乳がんなど、他のがんの肺転移(3個以内)に対してもSBRTの適応となります。
――同院の治療はどんな特徴がありますか。
SBRTと一口に言っても、放射線治療施設ごとに方法はさまざまです。SBRTを行っているからといってどこの施設で受けても同じというわけではありません。当院のSBRTの特徴として、【1】 体を切ったり針を刺したりといった患者さんへの侵襲的処置がありません。施設によってはSBRTを行う際の目標物として金属を体に埋め込んだりすることもありますが、当院では不要です。【2】 放射線治療の強度が高いです。通常は治療強度を上げると副作用も増えると考えられがちですが、がんへの治療強度を上げながら周囲の正常臓器の放射線量を下げる手法が当院では確立しています。そのため、狙って治療した病巣はほとんど再発することなく、問題となるような副作用が生じることも稀です。欧米では比較的スタンダードな手法ですが、日本で行われる施設は少ないです。【3】 スタッフが訓練されています。SBRTは高い技術が凝縮された治療のため、治療適応の判断、治療の準備、実際の治療、治療後の経過判断といった過程で、多職種の知識と経験が求められます。当院では日本で行われた肺がんSBRTの3%を占めるほど豊富な経験の蓄積があります。患者さんの病状によって微妙な判断を迫られるときに、より適切な治療法を提案できると考えています。
――治療期間や体への負担を知りたいです。
1回あたりの治療時間は20分ほどで終わります。治療期間は5日間で連日行いますが、治療効果を保ちながら3日間に短縮することで、患者さんの負担をさらに軽減する試みを開始しています。治療中は大半の方が体調変わりなく経過します。治療が終わった後、副作用が起きやすい時期は1カ月ごとに通院していただき、安定期には数カ月おきに経過を診ます。治療が終わってからも責任をもって丁寧に経過を診るのが当院のスタイルになります。
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