鎌倉のとっておき 〈第169回〉 古都の縁(鎌倉と京都)―鶴岡八幡宮と石清水八幡宮―
京都の石清水八幡宮は、奈良・大安寺の行教が宇佐神宮(大分県宇佐市)のお告げを受けて勧請したもので、伊勢神宮に次ぐ宗廟として朝廷に崇敬され、弓矢の神・戦勝の神として武家に篤く信仰された神社である。
鶴岡八幡宮は、源頼義が前九年合戦の戦勝を京都の石清水八幡宮に祈願して叶えられたことに感謝し、1063年(康平6年)、源氏の守り神として、この神社の神霊を由比郷鶴岡に勧請したことに始まる。1180年(治承4年)、鎌倉入りした源頼朝が小林郷(現在地)に遷座して、鶴岡若宮と称した。1191 年(建久2年)には本宮が創建され、現在のような上下両宮の姿になった。現在の若宮は、江戸時代に徳川秀忠、本宮は徳川家斉によって再建造営されたものである。
鶴岡八幡宮では、1月に手斧始式・除魔神事・左義長神事、2月に節分祭、3月に献詠披講式、4月に鎌倉まつり、5月に菖蒲祭、6月に蛍放生祭・大祓式、7月に七夕祭、8月にぼんぼり祭、9月に例大祭、12月に御鎮座記念祭・大祓式など1年を通じて行事が多く、鎌倉一番の観光名所である。
鎌倉銘菓の鳩サブレーは、鶴岡八幡宮本殿の掲額の字や境内の宮鳩からヒントを得て鳩の形にしたとのこと。掲額「八幡宮」の「八」の字は2羽の鳩で表されているが、石清水八幡宮の掲額の「八」の字も2羽の鳩で表されている。機会があれば、鶴岡八幡宮と石清水八幡宮の掲額を見比べてみるのもおもしろい。
山東直大
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