不登校の未然防止と、不登校状態からの教室復帰を支えようと、鎌倉市は学級以外の居場所として「校内フリースペース」の開設を、2学期初日の9月2日からスタートした。今年9月に9校、2025年9月に8校、26年9月に8校の整備を終え、3年間かけて市立小・中学校全25校で開設。右肩上がりで増加する不登校数に歯止めをかけたい考えだ。
3年で小・中全校に整備
白と木目の家具をメインに、青や緑の椅子が彩りを加える。2日に校内フリースペースを開所した深沢中では、リラックスして過ごせる空間をコンセプトに、市が協定を結ぶ家具メーカーIKEAと環境を整えた。
同校はフリースペースを開設するにあたり、もともと生徒会で使用していた部屋を改装し、生徒会室は空き教室へ配置替え。室内には個別の学習机、複数で使えるテーブル、ゆったり過ごせるソファを用意。自分のペースで学習や学校生活を送りやすい空間を整えた。開所後にはさっそく生徒の利用があり、自習に励んでいたという。
不登校の児童・生徒の支援として市教育委員会が整備する校内フリースぺース。学校に通っているものの、「教室に行きづらい」「集団でいるのが苦しい」という時の受け皿として不登校を未然防止。また、不登校状態で「学校に行きたいけれど教室に入るのが不安」という子どもの教室復帰を支えるのが狙いだ。各校には、市が新たに採用した支援員「まなびばサポーター」を配置し、子どもたちに寄り添う。
市教委は「(鳥が羽を休める)止まり木のような場所になれば。安心して過ごして、次の場所に巣立っていってほしい」。9校でフリースペースを開設した今年度の整備費は、エアコン、インターネット環境の整備、机や椅子などの家具、支援員の人件費など約2200万円。
9年で3・5倍に
全国的に小・中学生の不登校数は右肩上がりの状況で、鎌倉市も同様。市内で2013年度に104人だった不登校児童・生徒数が22年度は359人と、9年間で3・5倍に膨らんでいる。
文部科学省の調査によると、不登校の要因は本人の無気力・不安や生活リズムの乱れ、親子の関わり方、友人関係、学業不振などさまざま。市教委は「フリースペースを居場所の選択肢の1つに加えてもらい、苦しんでいる子どもが1人でも減ってほしい」と話す。
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