建長寺で毎週土曜に実施されている「親と子の土曜朗読会」が、9月28日に節目の1000回を迎えた。2005年1月にスタートして、足掛け20年での大台到達。主催のNPO法人日本語の美しさを伝える会は、「続けるではなく、続いていくものになればいい」と語り、今週土曜には1001回目が開かれる。
日本語の乱れが問題視されていた2005年。子どもたちが小説や童話の名作を朗読で聞くことによって、日本語の美しさを感じ、言葉への関心を深めてもらおうと始まったのが朗読会だ。伝える会の代表理事・伊藤玄二郎さん(80/かまくら春秋社代表)と、建長寺宗務総長が鎌倉ペンクラブの会員として親交があったことから、「平成の寺子屋」を構想した。
雨、風、雪でも休まず開催
朗読会は、建長寺で毎週土曜午前10時から1時間、親子やお年寄りなど毎回10〜20人が参加する。最初に般若心経を唱えてから5分間座禅し、朗読に入る。新型コロナによる緊急事態宣言中の建長寺閉門時を除き、雨、風、雪でも休まず開催してきた。大晦日や元日も含む。ゲストにやなせたかしさんや井上ひさしさん、角野栄子さんらを迎えたこともあった。
そして2024年9月28日、1000回到達。当日は同寺法堂で記念特別プログラムを実施し、駆けつけた約300人が節目を祝った。会場では「古事記」や芥川龍之介「蜘蛛の糸」が朗読され、参加者は読み手の一言一句に耳を傾けた。
読み手として、日本とトルコの友好をテーマにした本を朗読したのは、幼稚園の頃から参加する20歳の長井知茅(ちがや)さん、山崎晴日さん、渡邉瑞紀さん。地元の幼なじみは、朗読会が毎週の楽しみだった。聞くだけではなく、読み手も担当するように。長井さんは、「ここに来ると素敵な話を聞くことができる。これからもみんなの居場所であってほしい」。
主催者の伊藤さんは今後の目標を据えず、「参加した方が幸せな気持ちになって帰れる場でありたい」と前を向いた。
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