パリ五輪の体操競技で金メダルを獲得した 杉野 正尭(たかあき)さん 市内在住 26歳
4年後もあの舞台に
○…パリ五輪体操競技の男子団体決勝。5種目目の平行棒を終えて、2位につけた日本。最終種目の鉄棒で、日本チームの一番手としてマットに立った。先陣を切る選手の演技結果が、勝敗を大きく左右する大事な局面。「最初で最後になるかもしれない特別な時間を大切にしたい」。これまでに感じたことがない緊張感に包まれながら、演技開始の手を挙げた。
○…高難度の手放し技を次々に決め、着地も成功。「記憶があるのは、演技が終わってマットを降りてから」だが、ノーミスの演技に雄たけびを上げてガッツポーズした。首位につける中国ムードだった会場の雰囲気は一変。仲間たちを鼓舞し、日本チームに勢いをもたらした。金メダルを手にし、「幸せな気持ちとたくさんの方への感謝であふれている」と笑みがこぼれる。
○…三重県出身。兄2人の影響で小学1年から体操を始め、福井県の鯖江高校、鹿児島県の鹿屋体育大学・同大学院へ進学。東京五輪での代表落選や2度の補欠を経験するなど、パリ五輪までには悔しさも味わってきた。4年前からは徳洲会体操クラブに所属し、鎌倉市内を拠点に置く。大会前には毎回、鶴岡八幡宮へ必勝祈願に訪れる。「歴史や風情があって過ごしやすい」と、街への愛着もわいてきた。
○…「できる大人を醸し出したかった」とアイスコーヒーを毎朝飲むのが高校時代からのルーティーン。特にブラックを好み、「頭の中が整理されて心が落ち着く」と続けている。一段落し、見据えるのは4年後のロス五輪。団体での連覇に加え、個人種目のあん馬と鉄棒での金メダル獲得を狙う。「日本チームを支える柱になって、もう一度あの光景が見たい」。挑戦はもう始まっている。
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