サンマを焼く香ばしい匂いが腰越の街に漂う。「サンマ8匹入りまーす」という子どもたちの元気な声が聞こえてくるのは、腰越3丁目の江ノ島ともだち幼稚園(旧鎌倉幼稚舎幼稚園)の園庭だ。11月16日、園恒例のサンマ祭りが開催され、園児や保護者、地域住民らがサンマ1300尾を堪能した。焼き場を担当するのは、「認定焼き師」を含む父親ら有志だ。
この祭りは、東日本大震災の復興支援のために始まり、今年で9回目。岩手県大船渡市から直送のサンマを炭火で焼き、園関係者や地域住民にふるまってきた。400尾からスタートし、今では1300尾に拡大。「毎年の開催を楽しみにしてくれている人も多い。ずっと続けているからこそ、不漁の時でも大船渡から新鮮なサンマが入ってくる」と話すのは、園長の清水有生さんだ。
午前中は、園児親子や卒園生らが集まり、サンマやつみれ汁を味わった。焼きたてのサンマを食べた園児は、「おうちで焼くより香ばしいね」「炭火だと違うね」と笑顔を見せていた。
午後からは地域住民が列を成す盛況ぶりで、サンマでいっぱいの袋を両手に帰る人も多かった。
パパ友2人で認定試験合格
1300尾ものサンマを焼くのは、在園・卒園児の父親や地域住民有志。今年は25人が焼き場を担当した。
今年、その中心を担ったのが、「大船渡市さんま焼き師認定試験」に合格した大倉寿人さん(48歳・津西)と射場大輔さん(同・腰越)だ。
子どもの学年は違うものの、在園中だった第2回からサンマ焼きに参加し、交流するようになったという2人。毎回、大船渡から来た「認定焼き師」が焼き方を指導してくれており、2人も感化され、受験を決意。4年ほど前に大船渡へ行き、実技講習と筆記試験を経て、認定を受けた。
今年は、大船渡の焼き師が体調不良で来られず、2人が指導役に。皮がめくれたり、身が破れてしまうとふっくらと焼きあがらない。「大切なのは無駄に触らないこと。1回だけひっくり返す。サンマの脂ののり具合によって違ってくるので、タイミングの見極めが難しい」と大倉さん。射場さんは「参加したことでパパ同士の会話も増えて、仲間ができた」と活動の喜びを語った。
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