鎌倉のとっておき 〈第176回〉 かまくら花めぐり(建長寺:早春から)
建長寺は、1253年5代執権・北条時頼が建立した日本初の禅宗寺院。鎌倉五山第一位、所蔵する開山・蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)を描いた頂相(ちんぞう)(絵画)、法語規則(書蹟)及び梵鐘は国宝に指定されている。裏山には、招福や火除け・厄除けなどにご利益のある半僧坊(はんそうぼう)大権現も祀られている。
ここに咲く花といえば、早春には梅。仏殿周辺や唐門前で紅白の花がほころび始め、境内は春の甘い香りに包まれていく。
陽春の頃は桜。三門前では、阿亀桜(おかめざくら)が濃桃色の可愛らしい花を付ける。そして染井吉野。三門前では、枝ぶりも見事な木々が量感も豊かに咲き揃い、また散りゆく様はまさに圧巻である。また半僧坊の参道、虫塚近くの桜並木も、薄紅色に輝く桜のトンネルへと変わっていく。染井吉野が盛りを過ぎる頃には、三門前や唐門前などの枝垂桜が薄紅色の花々を咲かせてくれる。
初夏の頃は皐月(さつき)。三門前や半僧坊周辺で真紅の花々が咲き乱れる。さらに創建750年を記念して植えられた牡丹(ぼたん)。総門から仏殿までの参道や西(せい)来庵(らいあん)などで、赤や紫、黄色などの多彩な花々が競うように咲き、境内を彩る。
この頃、半僧坊や天源(てんげん)院(いん)の参道などでは、陽光を浴びた新緑の紅葉(もみじ)が目にも眩い光を放つ。かたや方丈庭園裏の石垣では、岩煙草が紫色の清楚な花を付ける。さらに半僧坊や回春院の参道では、群生する射干(しゃが)が白い花々を一斉に咲かせてくれる。
石塚裕之
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