鎌倉のとっておき 〈第177回〉 鎌倉旧市街唯一の元気な専業農家
鎌倉駅西口から銭洗弁財天宇賀福神社・源氏山公園に向かう道は、途中から狭くなり、観光客で混み合っていることも多いが、住宅が並ぶ中、ふと「野菜の自動販売機」ののぼりが目に入る。路地を曲がれば、自動販売機の小部屋から旬の新鮮野菜が顔をのぞかせている。1月のラインナップは、お馴染みの春菊・小松菜・ほうれん草・にんじんからあやめっ娘・京むらさきといった色つきダイコンやあやめかぶ、紫カリフラワー等。不ぞろい野菜のおつとめ品にも注目の、畑から直行する野菜たちである。
かつて、一帯は農地が広がっていたという。江戸時代にさかのぼり、ここで現在7代目の安齊勇貴さん(28)は、4年間の会社員生活を経て一昨年夏より家業を継いだ。鎌倉の専業農家といえば2020年に22戸。関谷・手広地域の七色畑(一つの畑に多種類の野菜が育てられている)が有名だが、旧市街唯一の専業農家も元気に鎌倉野菜作り現在進行形である。
野菜の自動販売機はコロナ禍での非対面販売として始めて4年。直接買いに来る人も多かったため導入した。朝夕は地元の人が中心で、昼間はのぼりを見た観光客も鎌倉野菜をお土産にと立ち寄り、市外から来るリピーターもいるとか。昨秋新しくお目見えした大きなビニールハウスでは、いちごの栽培にチャレンジ中。2月中旬初収穫に期待が高まる。新しい鎌倉のスポットにもなりそうだ。
安達洋子
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