鎌倉市は4月から、住民票の写しや戸籍謄本などの個人情報が不正な手段で取得されたことが判明した場合、本人に通知する制度を実施している。5月13日現在、12人に通知が行われた。「不正」の判断など運用には難しさもあるが、個人情報流出の抑止力として効果が期待されている。
住民票の写しや戸籍謄本といった個人情報は、委任状などの書類が揃っていれば代理人でも交付を受けることができるほか、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、行政書士など8士業は、「特定事務受任者」として職務を通じて、交付を請求することができる。
こうした制度を悪用し、2011年には全国の探偵事務所や調査会社から依頼を受けた「プライム総合法務事務所」(東京都)が、所属する司法書士の職務上請求用紙を偽造するなどして、全国の市町村から戸籍・住民票の写しなど1万枚以上を不正取得していたことが判明。司法書士や元弁護士、法務事務所の経営者ら5人が逮捕される事態となった。
従来は不正な手段で個人情報を取得されても、本人がそれを知る手段はなかったため、「本人通知制度」はこうしたケースを防ごうと西日本を中心に全国で導入が進んでいる。神奈川県内では昨年9月に藤沢市が初めて導入。鎌倉は2団体目となる。
制度には主に「事前登録型」(住民票の写しなどを第三者に交付した場合、行政が事前に登録した人にのみ通知する)と「告知型」(不正取得の事実が判明した場合に、行政が被害者に通知する)があり、鎌倉市は「告知型」を導入。4月4日には「プライム事件」をはじめ、法務局の通知により不正取得されたことが明らかとなった12人に初めて通知を行った。
市市民活動部市民課では「不正の判断など難しい部分もある」としながら「これまでの不正取得事件でも、犯人グループは通知制度が導入されている自治体では情報の取得を避けており、抑止効果も期待できる」と話している。
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