今年夏の市内海水浴場における利用者、海の家の営業に関する新たなルール、規制が固まった。鎌倉市は昨年制定した「マナーアップ条例」を改正。利用者に入れ墨の露出や指定場所以外での喫煙など9項目の「禁止行為」が認められた場合、中止・退去命令が出せるようにしたほか、砂浜での飲酒、ラジカセ等の音響機器の使用を禁止した。また海の家については、営業時間を昨年より1時間半早い8時30分までとする新たなルールで市と事業者が合意した。
悪質利用者は「退去」も
市内海水浴場をめぐっては昨年、風紀や騒音に関する市への苦情が60件、犯罪発生件数が30件といずれも前年の約2倍となるなど、治安の悪化が問題となった。隣接する逗子市が「日本一厳しい」と言われる条例を制定したため、マナーの悪い利用者が流入したことも原因の一つとされた。
そこで鎌倉市も、今夏の海水浴場の利用に関する規制強化に乗り出した。昨年6月に制定した「海水浴場のマナーの向上に関する条例」(通称「マナーアップ条例」)の改正案を市議会2月定例会に提出。このなかで市は、昨年は改善を「努力義務」としていた入れ墨の露出や大音量で音楽を流す、指定場所以外での喫煙など9項目を「禁止行為」に変更、違反者に対して行政指導として中止や退去命令を出せるようにした。
加えてラジカセなどの音響機器によって音を出す行為、海の家の店舗を除く砂浜での飲酒も禁止とした。これらを含む改正案は市議会で可決された。
海の家営業も規制強化
また海の家の営業については「営業時間を従来の午後10時までから8時30分までに」「アルコール度数の高い蒸留酒についてはアルコール分を含まない飲料で希釈して提供し、一気飲みにつながるショット販売は行わない」「音量は海の家の海岸側で85デシベル以下とする」などのルールで市と事業者が合意した。
時間短縮が焦点に
海の家の営業ルール策定に関しては、市と市議会、事業者との議論が二転三転することになった。
市は当初、昨年12月に発足した「鎌倉市海水浴場のあり方・ルール協議会」での検討結果を受けた上で、事業者で作る市海浜組合連合会(増田元秀代表)と話し合い、営業時間短縮やライブイベントの禁止など新たなルールでの営業を求める考えだった。
しかし3月4日の市議会本会議で「安全対策を徹底させるには、条例により海の家の営業時間を午後8時30分までと規定するべき」として、マナーアップ条例の修正案が議員提案により提出された。
この修正案は賛成少数で否決されたものの、3月9日、15日に行われた市と事業者との話し合いでは「8時30分までの営業では経営的に厳しい」「治安が改善するという根拠はない」として事業者が反発し、いったんは交渉が決裂した。そのため直前に議会で否決された「条例による営業時間の規制」を松尾崇市長が改めて「検討する」と表明することになった。
その後、3月30日に行われた話し合いで、事業者が営業時間の短縮などを受け入れる考えを表明。「鎌倉市の観光全体への影響を考えた」とする増田代表に対し、松尾市長は「健全な海水浴場を取り戻すため、市民、事業者、行政が同じ方向を向くことが大切」と話し、今年の条例化はしないとした。
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