4月3日告示の神奈川県会議員選挙で、鎌倉市では定数2に対し自民党の中村省司氏(70)、民主党の早稲田夕季氏(56)の現職2氏以外に立候補がなく、無投票当選が決まった。鎌倉市での無投票は戦後初。本紙では当選が決まった2氏にインタビューを行った。
「当選の実感ない」中村省司氏(自民党)
――無投票での当選をどのように受け止めていますか。
「市議会議員を含め、これまで多くの選挙を経験しましたが、無投票での当選は初めて。実感が沸いてこないというのが本音です」
――若者を中心に政治離れが進んでいると言われます。どのような取り組みが必要だと思いますか。
「若い皆さんには、たった一票と思わず、自分の行動が地域や政治を良くするということを信じてほしい。18歳で選挙権を認める議論が進んでいますが、基本的には賛成です。今後は幼いうちから教育現場で、政治に関心を持つ機会を作ることも必要になるでしょう。私自身は大学生だった1967年にモントリオールで行われた万国博覧会の視察団に加わり、外国の生活や文化を目の当たりにしたことが、その後の国や地域を良くしたいという気持ちにつながりました。若いうちに世界を知る体験をすることも大切だと思います」
――現在の鎌倉市や神奈川県の課題は。
「これから日本中が少子高齢化と人口減少に直面します。これまで高額納税者が多く、財政的には比較的健全とされてきた鎌倉市でも、税収が少なくなる反面、子育てや介護、安全・安心のまちづくりなど必要な経費はどんどん増えていきます。政治の役割として行財政改革、議会改革を続けていきますが、地方自治体として税収を増やすための取り組みが必要になります」
――具体的には。
「鎌倉は市域の4分の1で緑が守られています。豊かな自然環境は後世に残すべき財産ですが、古都保存法などの規制も多い旧鎌倉地域でこれ以上の都市機能の充足は難しいのが現状です。そこで重要になるのが大船地域です。今後、そのポテンシャルを十分に発揮し、税収を確保できるようなまちづくりができるかどうかが、カギだと思います」
――県会議員として、鎌倉の課題にどのようにかかわっていきますか。
「よく県会議員は何をしているのか分からないという声をいただきますが、政府が地方創生を掲げるなか、国、県、市が連携する機会が、ますます増えていくはずです。時として民主主義は時間がかかりますが、どんなに時間がかかっても合意形成を図り、政策を実現していくことが必要だと考えています」
「政策訴えられず残念」早稲田夕季氏(民主党)
――無投票での当選をどのように受け止めていますか。
「市民の皆さんにとって、選択肢そのものがなかったこと、私自身としても4年間の集大成として県政の課題や自らの政策、これからの取り組みを訴える機会がなかったことは、残念で複雑な気持ちです」
――政治離れが進んでいます。どのような取り組みが必要だと思いますか。
「まずは政治家自らがネットメディアを含め、あらゆる手段で情報発信することが大切です。若者の政治への関心を高める取り組みとして、学校での模擬投票やディベートを通じて議論そのものに触れることも重要と思います。『何も変わらなかった』とこれまでの政治に失望する気持ちは分かりますが、一人一人が自分のこととして政治に関心を持ってほしいと思います」
――現在の鎌倉市や神奈川県の課題は。
「経済が好調と言われますが、株価の上昇や円安のメリットを受ける企業はごく一部です。その陰で非正規雇用が増加するなど格差が拡大し、子どもにも貧困が広がっています。また津波や台風に対する防災・減災対策も十分とは言えず、危機感を持って取り組む必要があると感じています。教育を守り、質を向上させる取り組みも大事です」
――それらの課題にどのように取り組みますか。
「雇用は国の問題ですが、いわゆるブラック企業対策など、県ができることも多い。また子どもの貧困対策として、県はこのほど、『対策推進計画』を作りました。今後はこの計画に基づいて実態の把握や生活、教育の支援を行っていきます。これまでも児童相談所職員の増員などに取り組んできましたが、教育と福祉の連携が必要になると思います」
「防災面では東日本大震災後に増えているとは言え、鎌倉市内の避難ビル、避難空地は50カ所ほど。多くの観光客が訪れる鎌倉で十分とは言えません。県ががけ地対策などと合わせて進めている避難階段の設置が、鎌倉でも実現できるように働きかけていきます」
「教育では基礎学力の向上といじめの撲滅に取り組みます。また導入率が全国でワースト2位と言われる中学校給食ですが、女性の社会進出もあり、要望が増えていくと思います。県としても支援していきます」
鎌倉版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|