鎌倉市と鎌倉平和推進実行委員会(前田求委員長)はこのほど、「戦争体験証言記録DVD」の長崎被爆体験編を制作した。鎌倉市被爆者の会「いちょうの会」元代表で顧問の高野澄子さんの協力を得たもので、今回が第2弾となる。DVDは市内小中学校や図書館へ寄贈され、総合学習等で活用されるほか、市民への貸し出しも行われる。
公募の市民7人からなる鎌倉平和推進実行委員会と鎌倉市が協働し、2000年から市内の学校で行っている「出前講話”平和”」。戦争体験者や国際協力団体の職員の話を直接子どもたちに伝えることで、平和について考えてもらおうと行われている。
しかし近年、講師を務める戦争体験者の高齢化が進み「このままでは貴重な証言が次世代に引き継がれない」との危機感から、同実行委では証言の映像化を企画。昨年3月には、沖縄戦を体験し、2001年から「出前講話」で語り続けていた新垣秀雄さんの証言を収録、市内小中学校と図書館へ寄贈している。
平和想うきっかけに
今回、証言を収録したのは長崎での被爆体験を2005年から「出前講話」で語ってきた市内十二所在住の高野澄子さん(83歳)。
高野さんは1931年、長崎県大村市で生まれ、高等女学校2年生だった13歳の時に被爆した。「自宅で動員先の工場へ行く準備をしていた時、原爆が投下された。その時の衝撃と、地獄絵図のような街の様子は忘れられない」と話す。その後は体調不良に悩まされながらも、都内で就職。「戦後しばらくは自分が被爆したなんて言えなかった」と当時の雰囲気を振り返る。結婚、出産を経て自身の体験を話せるようになったのは60歳を過ぎたころからだった。
子どもたちに語りかけるときは悲惨さだけを強調しないよう気をつけているという高野さん。「どうすれば平和になるか、私の話で多くの人が考えるきっかけとなれば」と話している。DVDは現在、市内の各図書館で貸し出しされている。
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