岩の剥落や崩落による危険性を理由に、市が開削を決めているJR北鎌倉駅そばのトンネルで4月4日、工事が始まった。反対住民は座り込みなどで抵抗しているが、市は「方針や予定に変更はない」とする。
市が4日からの工事実施を明らかにしていたこともあり、トンネル前には前日の夜から開削に反対する住民らが集まり「座り込み」を始めた。
午前9時すぎに市職員と工事事業者が現れると、住民らは「2万人もの反対署名が集まっている。その声を無視するのか」「貴重な遺跡を破壊することになる」「安全性を再度検証してからでも遅くない」などと職員らに詰め寄り、周囲は騒然とした雰囲気となった。
そうしたなかこの日は、トンネルの外側に作業用の囲いが設置された。今後は内部をコンクリートで閉塞する予定で、早ければ来週にも実施するという。また測量なども進めながら周辺の植物や土などを除去し、開削するとしており、市は「7月中旬までに工事を終えたい」としている。
資料等はないものの、掘られてから80年は経過していると見られる同トンネル。市は昨年4月、「岩が剥落する可能性があり危険」として通行止めを決定し、同8月には、安全対策のために岩そのものを切り崩す「開削」を実施する方針を明らかにしていた。
地域では「開削で安全性が向上する」「救急車両の通行も可能になる」という意見がある一方で、景観のユニークさや「岩塊そのものが中世から残る史跡であり貴重」との観点から、保存を訴える住民も。1月には市民22人が、市に対し工事差し止めを求める訴訟を起こしている。
4日に行われた定例記者会見で「工事の予定に変更はない」とした松尾崇市長。一方、北鎌倉緑の洞門を守る会(北鎌倉史跡研究会)の出口茂代表は「工事そのものも住民の安全が考慮されておらず問題がある。今後も工事阻止を目指していく」と話している。
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