6月5日に北鎌倉で朗読劇公演を開催する女優 松井 紀美江さん 笹目町在住
「培ったもの故郷に」
○…女優として、テレビドラマや舞台、映画などで40年以上にわたって活躍を続ける。6月5日には俳優・深水三章さんとともに、北鎌倉駅前のイベント会場で朗読劇を開催する。昨年に続いて2回目となる公演を前に「セリフだけで場面や感情を伝える朗読の難しさとともに、手ごたえや面白さも感じました。演劇とも違うライブ感を楽しんでもらえれば」と意気込む。
○…市内材木座出身。バスケットボールに打ち込み、体育教師が夢だった少女の運命が変わるのは高校3年生の時。友人が出場したオーディションに付き添った際に事務所からスカウトを受けた。「全く興味がなかった」とこの誘いは断ったが、その後、自営業をしていた父が急死。けがで体育大の受験もできなかったことから芸能界入りを決意した。「演技の経験はゼロ。とにかく一つ一つの仕事に必死で取り組みました」とデビュー当時を振り返る。
○…主に脇を固める実力派としてキャリアを重ねてきたが「女優は一生の仕事」と思えるようになったのは、30代も半ばを過ぎてからという。悪役や敵役を演じる機会が多くなり「目線一つで印象がガラリと変わる。色々な人を観察し、それを自分なりに表現することが楽しくなっていった」。最近はコミカルな役も増え、演技の幅を広げている。「今でも終わるたびに必ず反省点がある。だからこそ、次はこうしたい、という欲が出るのかもしれません」と理想の追求は今も続く。
○…デビュー後は都内に住んでいたが10年前、再び故郷に。「鎌倉は人も空気も穏やか。やはり自分にとって一番落ち着ける場所ですね」。帰郷とともに小町に小さなバーを開いた。常連客の「地元でなにかやってよ」という声に推されて企画したのが朗読劇だった。「自分を育ててくれた鎌倉にようやく恩返しができる年齢になった。培ってきたものを多くの人に見てもらえたらうれしい」。そういうと静かに微笑んだ。
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