市内在住のアロマセラピストがこのほど、鎌倉の樹木から精製した香油の販売を始めた。材料は炭作りを行う地元企業や、里山の保護に取り組むボランティア団体の協力を得て調達。昨年度の鎌倉市商工業元気アップ事業の認定も受け「香りの地産地消」に挑んでいる。
「鎌倉の香油 森林」を製造するのは、市内岡本在住の宮地一美さん(54)。宮地さんがアロマと出会ったのは30代の初め。「育児や家事で悩んだ時、自分だけの時間を取り戻してくれたのがアロマでした」と振り返る。30代後半で資格を取得し、現在はサロンの運営や教室も主宰している。
転機は10年ほど前。市内の高齢者施設から依頼を受けて、入居者のケアを行うようになったことという。「お年寄りにアロママッサージなどを行うと『昔遊んだ野山のにおいだ』と言って、幼い頃の思い出を語ってくれるようになりました。その時、香りは人の記憶に結び付いてそれを呼び起こすものだと、改めて気付かされました」。
ただ、ケアに使う香油は外国製のものがほとんど。「地域に根差した、鎌倉ならではの香りが作りたい」と考えた宮地さんがその夢を友人らに打ち明けると、次第に賛同者が集まった。
知人の紹介で主な材料は、長谷に本拠を置き、市内の森で伐採した樹木や竹で炭作りをしている(株)ベルウッドから提供を受けることが決定。里山の保護活動に取り組むボランティア団体からも間伐材の杉やヒノキを譲り受けた。さらに昨年、優れた事業計画を市が支援する「鎌倉市商工業元気アップ事業」に応募したところ、ステップアップ部門で認定を受け、これを機に香油づくりが本格的にスタートした。
当初、精製は外部委託を考えていたが、メーカーとの交渉がなかなか進まず、ついに蒸留器を購入し、自宅での製造を開始。アロマオイルとスプレーが完成し、名称やパッケージデザインなども決定、3月末から販売を始めた。
現在、鎌倉すざく(長谷)などで取り扱い中。宮地さんは「多くの人とのつながりで、鎌倉生まれの香油が完成しました。アロマの可能性について知ってもらうとともに、鎌倉の自然についても考えるきっかけになれば」と話している。詳細は宮地さん【携帯電話】090・2156・3987、【メール】rose.coeur@hotmail.co.jpへ。
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