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鎌倉版 公開:2018年12月7日 エリアトップへ

鎌倉のとっておき 〈第50回〉 "ぬくもり"鎌倉から

公開:2018年12月7日

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光触寺にある一遍上人像
光触寺にある一遍上人像

 私たちの健康の源、睡眠。そして良質な眠りに欠かせないのが「布団」だが、その起源は、意外にも鎌倉武士のお勤めと深い関係がある。

 平安時代、まだ敷布団はなく、貴族でさえ直接畳の上で眠っていた。

 これは鎌倉時代も同様で、時宗の開祖、一遍の『一遍上人絵伝』にも、畳を運んで臥所(ふしど)(寝床)の用意をする僧侶の姿が描かれている。掛布団もなく、眠る時は昼間身に付けていた衣服を脱いで上から掛けていた。また当時は裸で眠るのが一般的であったという。

 かたや庶民、特に農民の住まいは、中が床ではなく土間であったため、眠る時は藁(わら)の中にもぐって寝ていたようだ。

 そうした時代、鎌倉武士には夜、幕府の警備として寝ずの番につくお役目(宿直(とのい))があった。武士は宿直の際、寒さを防ぐために平常服(直垂(ひたたれ))に綿を入れた服(直垂衾(ひたたれふすま))を用意し、これを着て勤めにのぞんでいた。

 その後江戸時代になり、綿の普及に伴い、肩まで隠れ保温性の高い直垂衾は、「夜着(よぎ)(かいまき)」として、眠る時に身体の上に掛ける形で使われるようになった。

 さらに関西を中心に四角い掛け具として一般化され、現在の掛布団になったという。

 ちなみに、綿の入った四角い敷布団も、この頃に普及が進んだと聞く。

 自然環境も豊かな古都鎌倉。そこは、相模湾の潮騒を枕に、緑の山懐(やまふところ)で日々の疲れを心地よく癒してくれる街でもある。

石塚裕之
 

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