神奈川県はドローンの活用による社会課題解決に向けて、自治体や企業、民間団体との連携を進めている。鎌倉市内からは(一社)鎌倉ドローン協会(青栁正紀代表理事)の取り組みが「モデル事業」に選ばれており、先月には国指定史跡である永福寺で初の撮影が行われた。映像は今後、観光プロモーション等に活用される予定だ。
県は超高齢社会や人口減少社会の到来による社会的な課題をテクノロジーの活用によって解決しようと、様々な取り組みを進めている。特に注目しているのが、急速な技術革新と普及が進むドローンだ。
県は昨年度、「ドローン前提社会」の実現に向けたモデル事業を募集。民間企業や大学などから、災害現場や物流、農業、施設点検などへの活用提案があり、23件が採択された。
そうした事業の一つが鎌倉ドローン協会が提案した「鎌倉市内の史跡の空撮による観光振興」だ。同団体は2017年6月に発足。現在は会員25人が所属し、パイロットの養成や操縦技術の向上などに取り組んでいる。また、鎌倉市、鎌倉・大船両警察署と災害時の情報収集に関する協定を締結している。
永福寺で初の撮影
モデル事業への採択後、初となる撮影が9月22日から3日間にわたって、二階堂の国指定史跡永福寺跡で行われた。
同寺は源頼朝によって滅亡させられた奥州藤原氏や合戦に参加した将兵を弔うために1194年に完成した大寺院だったが、室町時代の1405年に発生した火災で焼失。その後、1983年から96年度にかけて行われた発掘調査を経て建物の基壇や苑池が復元され、現在は公園として公開されている。
初日となった9月22日は、時折強風が吹く難しいコンディションのなかだったが、会員5人が事前に作成したシナリオなどに基づいて撮影を進め、最高で約125m上空までドローンを上昇させた。
この日の映像は今後、県や市が観光プロモーションへの活用を検討していく。撮影に立ち会った市観光課の職員は「空撮映像を活用することで、普段目にすることができない部分にもスポットを当てることができる。観光客の分散化を図るとともに、コロナ禍により今は訪問することが難しい人に対する『オンライン観光』などにも活用できるのでは」と期待を寄せる。
また青栁代表理事は「鎌倉で活動する団体として我々の映像が観光振興に活用されることになればうれしい。今後も撮影手法や見せ方を工夫していきたい」と話していた。10月下旬には、日本最古の築港遺跡とされる「和賀江島」の撮影も予定されている。
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