写真家で「鎌倉プロモーションフォトコンテスト」の審査委員長を務める 十文字 美信さん 雪ノ下在住 73歳
写真の可能性、追求し続けて
○…鎌倉市観光協会による「鎌倉プロモーションフォトコンテスト」の作品募集が、12月1日からスタートした。審査委員長を務めて10年目。今回のテーマを「いまだから、鎌倉」とした。「コロナによって、あらゆる人が生き方の見直しを迫られるなか、何を撮るべきなのか。その人なりの解釈でファインダーを覗き、今の鎌倉を切り取ってもらえたら」
○…横浜市出身。高校卒業後、公務員となったが「一生続ける気はなかった」。3年働いた後、「以前から好きだった」という写真の道へ。撮影スタジオなどでの修行を経て20代半ばで独立し、50年にわたって第一線を走り続けてきた。
○…「写真というのは見る人のイメージに負う部分が大きいメディア。だからこそ未来的だと思う」。デビュー後間もなく発表し、ニューヨーク近代美術館にも展示された「untitled」(首無し)と題された作品は、あえて顔を入れずに撮影したポートレート群。「顔を入れなかったことで誰か分からない。分からないことで見る人が想像する。それこそが写真というメディアの特徴ですね」とほほ笑む。修復のため解体中の仏像の一部をモチーフとした「残欠」シリーズなど、写真ならではの可能性を今も追求し続ける。
○…長く都内に住んでいたが、11年前に妻の実家があった雪ノ下に拠点を移し、ギャラリーを併設した自宅を建てた。「豊かな自然があり、歴史がある。こんな場所は日本中探してもそうはない」と鎌倉の魅力を語る一方で「最近はあまり撮りたくならない」とも。「多くのものがあっという間に変わっていく。本当に大切なものを守るなら、フォーカスはもっと遠くに当てないと」。写真家らしい表現で、鎌倉の今に警鐘を鳴らした。
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