鎌倉のとっておき 〈第121回〉 鎌倉の中の鎌倉期文化〜鎌倉大仏〜
鎌倉時代に幕府のあった鎌倉には、たくさんの歴史と文化が残っている。鎌倉時代に鋳造された「鎌倉大仏(国宝銅造阿弥陀如来坐像)」もその中の一つで、今に至るまで多くの人々に親しまれ続けている。
鎌倉時代に造られた鎌倉大仏だが、誰がどのような目的で造ったのかは定かではない。しかし、『吾妻鏡』の建長4(1252)年8月17日条に大仏鋳造の記事があり、この年に現在、目にする鎌倉大仏の造立が始まったとされている(この前に木造大仏が造られていた)。鋳造には多額の費用を必要とし、浄光という勧進聖が各地を廻り浄財(寄付金)を集めた。
こうして完成した大仏は東大寺の盧舎那仏(奈良の大仏)と同じ様に、建物(大仏殿)の中に安置され、黄金の輝きを放っていたという。しかし室町時代の大風によって大仏殿は倒壊し、今の姿「露坐の大仏」となってしまった。
大仏殿については近年、これまでの発掘調査の成果と湘南工科大学の研究チームにより、かつての姿がCGで復元され、映像を通して体験できるようになった。そこには鎌倉期文化の特徴の一つ、中国(宋)の様式を感じさせる大仏殿が映し出されている。
歴史豊かな鎌倉とはいえ、800年という時を越えて今に残る文化遺産はそう多くない。その中で鎌倉時代以来、ずっと鎮座し続けている鎌倉大仏は、鎌倉時代の歴史と文化を語り続ける貴重な文化財の一つといえる。
浮田定則
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