社会福祉法人きしろ社会事業会が8月に開所した大船の「みちテラス」には、障害者と介護が必要な人が共に利用できる「共生型」デイサービスがある。障害と介護の制度の枠を超えた新たな福祉の形として、秋から活動がさらに拡大中のみちテラスを取材した。
福祉サービスには、障害者を対象にした「障害福祉」、介護が必要な人のための「介護保険」がある。4年前に「共生型サービス」の制度が新設されるまでは、65歳以上になった障害者は、介護保険サービス事業所に移る必要があった。
「年齢を理由に長年通っていたなじみの事業所から移ることは、利用者にとって大きな負担」と話すのは、みちテラスを統括する織田絵美子さん(40)。共生型なら、高齢の親と障害がある子どもや夫婦が共に通うことも可能という。
きしろ社会事業会が運営する鎌倉プライエムきしろ(関谷)と二階堂デイサービスセンター(二階堂)では、21年11月に鎌倉市で初めて共生型の指定を受け、障害者の受け入れを開始した。
みちテラスは市内3つめの共生型として開所。視覚や知的などの障害がある人、車いすの人を含めて20人以上が登録している。同施設は、決まったスケジュールはなく、過ごし方を自分で選択できる形式をとっている。鎌倉海藻ポークの飼料づくりや地域のサークルの作業を請け負っており、自分の意志とペースで工賃も得られる。
地域の人も遊びに
開所から2カ月。利用者たちは、三者三様の時間を過ごしている。知的障害がある女性は、ほかの人と共に地元こども会の企画のために飾りを作り、うれしげに披露する。そこへ訪れたのは、小学生と家族。目的は、施設で利用者向けに導入したeスポーツ(ゲーム)だ。「ゲームだけでなく、図書コーナーなども地域に開放し、地元の方と野菜も育てています」と織田さん。熱中する小学生を後ろで見守る利用者、一方で資料に没頭する人、体操する人など、施設が目指す多種多様で個々を尊重する「共生」の形ができ始めている。
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