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大船中央病院に聞く 新型コロナの後遺症 上咽頭擦過療法で症状軽減へ
新型コロナウイルスの感染拡大が始まって3年。国内でこれまでに確認された感染者数は、3千万人を超え、全国民の4人に1人が感染を経験した計算になる。
「罹患者が増えたことにより、新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」)発症後の後遺症に苦しんでいる患者さんも増えています」。そう話すのは、大船中央病院耳鼻咽喉科の長谷部正之医師だ。新型コロナの後遺症は、罹患後に感染症から回復したにも関わらず、罹患してすぐの時期から持続する症状のこと。回復後に新たに出現する症状や、症状が消失した後に再び生じる症状を含めた全般を指す。
具体的な症状について長谷部医師は、「倦怠感、頭痛、めまい、吐き気。さらに耳鼻咽喉科の領域では、突発性難聴や顔面神経麻痺、味覚障害、嗅覚障害などの症状がみられる」と説明する。発症時期についても、罹患後から継続しているケースや、療養期間を終えてしばらくしてから症状が確認される場合もあり、患者によって異なっているのが現状だ。「療養期間を終えても、日常生活に支障をきたしていると感じたら、まずは相談しましょう」と呼びかける。
薬剤塗布で緩和へ
新型コロナによる後遺症の治療法として注目されているのが、上咽頭(じょういんとう)擦(さっ)過(か)療法(りょうほう)だ。明確な機序は明らかにされていないが鼻の奥、口から見ると口蓋垂(のどちんこ)の裏側にある上咽頭に、消炎作用と殺菌作用をあわせもつ塩化亜鉛という薬剤を直接塗布する。これにより上咽頭にある自律神経のツボが刺激され、さまざまな症状や疾患の改善が報告されている。同院では、上咽頭の炎症状態を確認し、週1回の通院で薬剤を継続的に塗布し、症状改善を図っていく。
新型コロナ後遺症の症状や治療法について長谷部医師は、「研究が進められている最中で、不明な点も多い」と話す。情報が少なくわからないことが多いからこそ、受診をためらってしまったり、1人で悩み続けてしまったりする患者が多いという。同院では、上咽頭擦過療法や漢方薬による治療に加え、問診でのメンタルケアにも力を入れている。「療養生活は1人で過ごす時間が長く、不安を抱え続けている患者さんもいらっしゃいます。気軽に受診し、医師と話すことで不安な気持ちを解消していきましょう」(長谷部医師)
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