3月13日付で鎌倉警察署長に就任した 柳 博泰さん 市内在住 51歳
次は恩返しする番
○…85代目の鎌倉警察署長。今回の異動で20カ所目となり、警察署長は初めて務める。就任から1週間ほどで感じる鎌倉の印象は、「優しさがあり温かく迎えてくれる街」。大河ドラマが放送され、新型コロナが落ち着きつつある今年は、鎌倉に多くの観光客が訪れることを想定する。「地域の方々と積極的に話し合い、前もって準備を進めていきたい」と意気込む。
○…警察官だった父親の背中を見て育ち、小学校の卒業アルバムには「夢は警察官」と記した。普段は厳格だったという父親に思いを伝えた時、採用パンフレットをうれしそうに見せてきた表情が、今でも目に焼き付いている。警察官となり「自分は自分、父親には負けたくない」と仕事に励む中、父は8年前に他界。「まだまだ追いついてはいないかな」と足元を見つめる。
○…勤続28年の間には、非行少年の指導も担当し、更生させようと奔走した。荒んだ目つきをしている少年に、目線を合わせながら諭していく。すると次第に表情に変化が生まれてくる。少年院を出所した少年があいさつに来た時、表情の良くなった姿を見て、「自分の仕事が人の人生に影響を与えている」。警察官としてのやりがいを改めて実感した。
○…「仕事が大変な時でも、力を発揮して頑張ることができるのは、同僚や家族の存在があってこそ」。壁にぶつかる度に周囲に支えられ、助けられてきたこれまでを振り返る。署長になった現在、結婚して初めての官舎での1人暮らしが始まり、引っ越しを手伝ってくれる子どもたちや、家事をしてくれていた妻への感謝を抱いている。「自分ができることから恩返しをしたい」と意気込み、日々の業務に突き進む。