大船警察署長に3月13日付で就任した 野澤 茂さん 市内在住 58歳
実直にコツコツと
○…大船や北鎌倉地区を管轄する大船警察署の署長に就任した。着任直後に署員に伝えたことは、「住民目線の徹底」。街に安心安全をもたらすには、住民や行政といった地域と手を携えることが重要であると訴えた。鎌倉市内への配属は初めて。「住民が気さくで温かく接してくれる」と印象を語る。都市部と豊かな自然が共存する新天地で、職務を全うしていく。
○…「いつももう少しという時に訪れる」という部署異動は、今回で21カ所目。これまでで印象深いと語るのが、10年ほど前に県警本部で海水浴場の諸問題に携わったこと。当時の藤沢から逗子にかけての海岸は、海の家のクラブ化や騒音問題、入れ墨の露出などが問題視されていた。「警察だけだと速攻性があるが、持続性がない」と、周辺自治体や県に呼びかけ、真冬の時期から対策に動き出す。海岸には約40回と根気強く出向き、最終的にガイドラインの策定にこぎつける。翌年、子どもや家族連れでも安心な海水浴場に生まれ変わった。
○…趣味はプランター菜園で、昨夏の野菜価格が高騰した際は、「自家栽培が助かった」と振り返る。土いじりをしている間は、仕事のことも忘れられる至福の時だが、携帯電話は肌身離さず。電話がかかってくると泥だらけになりながらも即応する。
○…住民目線を強調するのは、横浜市役所への出向経験も大きい。「取り締まり機関の警察とは一定の距離があると感じていたが、住民に寄り添う気持ちは同じ」。市役所での業務経験は、現在の仕事に生きていると胸を張る。他署より小規模の大船署では、署員個々の力を引き出すことが目標。「署員が持つ能力をフルに発揮して、地域に還元したい」