今回のテーマは、まもなくシーズン到来の「修学旅行」。鎌倉の市立小学校16校は、日光を毎年訪れている。一方で、市立中学校9校の今年の修学旅行先を調べてみると、京都・奈良や飛騨高山の観光地のほか、長野や岩手へ行く学校も。中学の修学旅行について市教育委員会に聞くと、行き先や内容は各校に委ねており、近年は多様化しているという。
本紙では、市立中学校9校の2023年の修学旅行先を調査。結果は、飛騨高山方面が4校(深沢・手広・大船・岩瀬)と最多で、続いて岩手方面2校(第一・御成)、長野方面2校(腰越・玉縄)、京都奈良方面が1校(第二)だった。実施時期は5月下旬から6月上旬に集中し、全校が2泊3日の日程だ。
学校ごとに分かれる旅先は、各校が重点に置く学習とも紐づく。市内沿岸部に位置する第一中では、昨年から行き先を東日本大震災の被災地である岩手県に。同校では近年、全学年の総合学習の授業テーマを防災とし、近所の避難場所調査や避難体験などを実施。その延長線上に、修学旅行も据えた。
第一中の目的地のひとつ岩手県大槌町は、津波により甚大な被害を受けた場所。昨年の生徒たちは、防災をテーマにした町民たちとワークショップを実施したり、2011年に町民が実際に避難したルートを見学したりした。
修学旅行先として被災地を提案した同校・目黒晋作教諭(44)は、「被災地を訪れることで、生徒たちは防災を自分事として考えられたと思う。その経験を総合学習につなげ、さらには鎌倉へ還元していってほしい」と狙いを語る。生徒からも、町民から聞いた「決断しなければ命が失われてしまう」という言葉を大切にしたいなどの声があがった。第一中は、今年も昨年同様の行程を組んでいる。
「体験型」増加
近年の修学旅行を調べてみると、「体験」というキーワードが浮上してくる。10年ほど前から長野県飯山市戸狩地区を訪れる腰越中は、自然体験型の旅に。宿はペンション。グループごとに田植え、カヌー、箸作り、さらには雪遊びやバーベキューなどを行い、日常とは異なる自然空間を満喫する。
また、「交流」も最近のトレンド。腰越中が自然体験を通して現地の人々と触れ合うほか、第一中は岩手県遠野市内の一般家庭に「民泊」するなど、人とのつながりを重視しつつある。
新型コロナの影響で、旅先を転換した学校も。玉縄中は新幹線を使った京都方面から、2021年は外部との接触を避けてバスによる長野方面へと切り替え、農業体験などを実施。23年以降も長野を予定している。
時代による旅先の変化について、市内の複数の学校に勤めてきた男性教諭(59)は「30年ほど前は京都・奈良方面が多く、その後に飛騨高山が主流となってきた」。市教委も、「最近はコミュニティーを感じ、地域を体験するなど形式を変えたものが増えている」と語る。
鎌倉版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|