8月末から9月1日にかけて、日本列島に襲来した台風10号。台風の中心から離れた神奈川県内でも線状降水帯が発生し、各地に洪水や土砂崩れなどの被害をもたらした。鎌倉市は8月31日に、市内全域に「警戒レベル4」を発令。警戒レベル4は、住民がとるべき行動として「危険な場所から全員避難」を呼びかけるもので、市全体に安全確保を促した。
台風10号で土砂災害の危険性が高まったことで、市が警戒レベル4を31日午後6時35分に発令。市民には防災無線やホームページ、公式LINE、防災・安全情報メールを通じて知らせ、「崖に近い住民は、崖から離れた2階以上の場所などで安全確保を」と呼びかけた。また、避難が必要な場合は、安全を確保しながら避難所へとアナウンスした。
今回は避難所を市役所と4カ所の行政センターに開設し、計7世帯12人が避難した。市が設置した災害コールセンターには、災害や避難所開設に関してなど18件の問い合わせがあった。
市によると、台風10号での市内被害は倒木や落石などが16件あったが、人的被害はなかった。
5は危険、4までに行動
鎌倉市の警戒レベル4は、発令から29時間後の1日午後11時25分に解除。避難指示を出した市総合防災課は、「市民が冷静に対応していて、課題があったとは捉えていない」と話した。
現行の5段階による警戒レベルが導入されたのは2019年。警戒レベルは目安情報を参考に、市町村が総合的に判断して発令する。最上位のレベル5は災害がすでに発生している可能性が極めて高い状況を示し、レベル4までに危険な箇所から速やかに避難をと呼びかける。
鎌倉市では、これまでに警戒レベル5を発令したことはないが、19年の台風19号ではレベル4を発令し、1300人以上が避難所へ。避難所の開設規模について、鎌倉市では台風の勢力や降雨の規模、襲来する時間帯によって判断している。今回は市役所と行政センターのみを開放したが、市立小学校の開設も視野に入れていた。
「正しい情報の入手を」
警戒レベル4が発令された時、住民はどのような行動をとるべきか。市総合防災課は「発表されている警報が、洪水か土砂災害なのか正確に判断すること。正しい情報を入手して、避難が必要か判断してほしい」と話す。避難と言っても指定避難所への移動だけでなく、知人宅への避難、屋内の高い場所など難を逃れる行動が求められる。また市が公表しているハザードマップは、「災害リスクを知らせるもので、安全を担保するものではない」とし、「周囲で異変を感じたら命を守る行動を」と訴える。
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