県は9月から、鎌倉を含む横須賀・三浦医療圏を中心とする医療機関で患者のカルテなどの情報を共有するシステム「さくらネット」を本格稼働した。情報通信技術(ICT)を活用し、電子カルテや薬の処方歴、検査結果などの情報を病院や薬局、介護施設など参加機関で共有。限られた医療資源の有効活用を図るとともに、患者の利便性を高めたいとしている。
同システムには5市1町3区(横須賀・三浦・逗子・鎌倉・藤沢市、葉山町、横浜市戸塚・金沢・栄区)にある計269施設が参加。4月に関係医療機関で組織された「一般社団法人さくらネット協議会」が主体となって運用する。県内で同様のシステムは2019年に始まった横浜市東部の「サルビアねっと」に次いで2例目。
カルテなどの患者情報は従来、病院をまたぐと共有されなかったが、患者がシステムに事前登録すると登録機関で共有が可能になる。県などはメリットとして、例えば他の医療機関で受けた検査データや処方薬の情報を参照できるため、▽検査や処方の重複がない▽救急搬送された際の情報伝達▽災害時の医療対応に役立つ―などをあげる。
三浦半島エリアなどで連携協定を交わす医療機関は2014年の4病院から23年には19病院に増加。「1病院完結型」から「地域完結型」の医療体制への移行が進む。
県は「身体的・経済的負担を軽減し、より安心で安全な医療の提供が可能になる」とする。
災害、救急搬送時に
横須賀共済病院とともに新システム構築へ尽力したのが、湘南鎌倉総合病院。さくらネット協議会の副理事長も務める湘南鎌倉の小林修三病院長は、「患者さんのためのシステムなんです。災害で診療所が被災したり、夜中に救急搬送されたりした時にも共有データを見ることができ、治療を進められる」。そのためにも、積極的にさくらネットに登録してほしいと呼び掛ける。
登録は、参加施設でできる。詳細は県ホームページ。
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