5月4日から茅ヶ崎市民文化会館で公演を行う「茅小演」の代表 馬場 健秀さん 東海岸南在住 50歳
命の尊さ伝える演出家
○…茅ヶ崎市と寒川町の小学校教諭で結成された演劇サークル「茅小演」で脚本と演出をする。今回の演目は「ハッピーライフ」。7年前に行ったサークル仲間の故・土屋利夫さんの追悼公演を再演。「命にかかわる演目を」と選んだ。初めて身近な人を見送ったこの時、「70歳になっても80歳になっても茅小演は続けるよ。皆の追悼公演をやるんだ」。自身の言葉が記憶に残る。「こんなに早く2回目が来るとは思わなかった」。今回、今年2月に他界した妻・尚恵さんを追悼する。
○…リストラされ自殺を考える主人公が、同窓会で小学生時代の友人と語らい、生きる気力を取り戻していく物語。前回の公演時、舞台袖から演技を見る自身の横には尚恵さんがいた。「公演中、真っ暗な舞台袖で時々『クスクス』って笑うんですよ。彼女が。その声が耳に残ってるんですよね」。思い出の詰まった演目。エレクトーン講師をしていた尚恵さんが演奏した音源を今回も使う予定だ。
○…振り返ると人生の転機は2回あった。尚恵さんと出会った16歳の時と、初めて教壇に立った29歳。教員を志したきっかけは、6歳下の弟が毎日持って帰ってくる小学校の学級通信。高校時代、これを毎日楽しみに読んでいた。「学校の楽しさが伝わってきたんです」。大学受験で志望校に落ち一度は諦めたが、27歳で勤めていた食品会社を退職し、アルバイトをしながら再度教員を目指した。既に尚恵さんと結婚していたが「彼女は応援して支えてくれた」。現在、松浪小で4年1組の担任を務める。
○…取材に応える一言一言から、人生の傍らにいつも寄り添っていた尚恵さんの存在感が滲む。今回の公演は、尚恵さんが亡くなる直前まで気にかけていたもの。「彼女は僕が元気にやってる事を一番喜んでくれると思う」。優しい笑顔が印象的だ。悲しみと向き合った今だからこそ、伝えられる「命の尊さ」を演劇で表現していく。
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