ミネベアミツミ株式会社(本社:長野県)が開発したハンドスピナーがギネス記録の認定を受けた。その製作には、円蔵に本社を置く金属加工メーカー・株式会社由紀精密の協力があった。
ハンドスピナーとは、通常7cmから8cmほどの大きさで手の上で回して遊ぶ玩具。中心にあるベアリングが羽根の回転を支える構造となっている。今回世界最小としてギネス認定されたハンドスピナーは、全長5・09㎜。自動車や家電などに使用されるミニチュアベアリングで、世界60%のシェアを誇るミネベアミツミがベアリングを製造した。同社は2015年に直径1・5ミリの世界最小ベアリングでギネス認定を受けており、「このベアリングを使って何か面白いものはできないかと考えたのがきっかけだった」とミネベアミツミの石川尊之広報室長(47)は話す。
当時アメリカを中心としてハンドスピナーが流行しており、「どうせならギネスを狙おう」と昨年8月に企画が始動。羽根の設計や組み立てを依頼したのが、茅ヶ崎で精密部品の製造・加工を請け負う由紀精密だった。
「超精密」で世界へ羽ばたく
2社の出会いは時計師の浅岡肇さんが手がける高級腕時計製作のプロジェクトで、共に部品提供を行ったときだった。由紀精密の精密部品加工の技術力を見込んだミネベアミツミが、「由紀精密さんなら何とかしてくれる」と今回のプロジェクトを持ちかけた。
2社はベアリングの特性や細部の調整について、繰り返し打ち合わせを行った。通常業務の合間を縫って製作にあたり、設計を担当した由紀精密開発部の永松純部長(40)は100を超える試作品を作ったという。「小さくしたまま全体の強度を保つことが一番の難所だった」と振り返る。
昨年11月、名古屋でプロの測定士による認定試験が行われた。サイズや回転の具合などの測定の様子がビデオで記録され、ギネスワールドレコーズの日本支社に提出。約2週間の審査を経て、11月下旬にギネス記録として認定された。測定の場に立ち会ったミネベアミツミ広報室の柴田亜里沙さん(33)は「知らせが届くと、真っ先に由紀精密さんにお知らせしました」。
由紀精密は金属加工メーカーとして、航空宇宙や医療機器などの先端分野で活躍の場を広げている。「お話をいただいて感謝。これからも『超精密』をキーワードに、共に最先端の技術に挑戦していきたい」と企画広報課の伊達令さん(26)。茅ヶ崎の町工場から今日も世界へ挑戦し続ける。
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