文部科学省は3月27日、「旧南湖院第一病舎」(茅ヶ崎市南湖7の12869の201)を国の登録有形文化財(建造物)に正式に登録したことを公表した。市内では、茅ヶ崎館(2009年1月22日登録)、藤間家住宅主屋(2015年3月27日登録)に続き3件目となる。
旧南湖院第一病舎は、1899年に医師の高田畊安が開設した結核療養施設「南湖院」の敷地北寄りに建つ木造2階建て。北側に切妻屋根の玄関部、西側に階段部分が張り出した設計になっている。外壁は下見板張で、療養所らしく多くの窓を配置して彩光通風に配慮している。現存する南湖院に関わる建物としては最も古く、当時は畊安の母親の名から「竹子室」とも呼ばれていた。
南湖院は、「東洋一の結核療養施設(サナトリウム)」と称され、国木田独歩ら文化人や勝海舟夫人など著名人の家族が多く療養し、市の発展にも寄与してきた。閉鎖後も関係者が管理を続けており、第一病舎をはじめ、敷地内には院長室棟や医局などの遺構も残る。
南湖院記念太陽の郷庭園内にある第一病舎は、2015年に市に寄贈された。この頃から文化財登録の話があり、市は調査を開始。同病舎は文化庁から「療養地として著名な湘南にある希少な明治期の結核病棟」という評価を受け、登録となった。
利活用の基本方針をウェブで公開
市では、同病舎の整備や活用方法について「旧南湖院第一病舎等利活用基本方針」を3月末に策定した。それに先立ち、昨年11月から12月にかけてパブリックコメントを募集。「文化財としての保存活用を第一に考えて整備を進めてほしい」「駐車場やバリアフリーの整備を」など、市民から38件の意見が寄せられ、これらを参考に基本方針がまとめられた。方針は市のホームページ上で公開されている。
市文化生涯学習課では、「今後はこの方針を基に関係者などとの調整を行い、利活用を図っていきたい」と話した。
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